第3章 きみに会えてよかった
・・・す、すごい・・・!す、水泳部、すごい・・・!!
・・・いい人・・・『ごうちゃん』先輩、いい人・・・!!!
「遅れてすいません!あれ、あなたは昨日の・・・」
「あー!イワトビックリパン、あげた子だぁ!!」
・・・いい人1号、2号!!!
水泳部・・・なんて、なんていい人達ばかりなんだろう・・・・・・・・・!!!
「・・・と、まあそういう経緯がありまして私は水泳部のマネージャーになりました」
「・・・・・・」
長い長い話を私は終えた。あの時、先輩達がくれた食べ物の味、私きっと一生忘れない・・・タコの公園のベンチに座りながら、私は感動に浸る。
「いや、つっこみどころがありすぎんだけどよ・・・」
私の話を黙ってずっと聞いていた宗介さんがやっと口を開いた。
「つっこみどころ?すごくいい話だと思うんですけど・・・」
「お前、餌付けされただけだよな?ハル達に」
宗介さんが『そういや今更だけど、お前ってなんで水泳部のマネージャーになったんだ?』なんて質問してくるから、それに答えただけなのに。
せっかく感動的な話をしたのに、なんでこの人は失礼なことを言ってくるんだろう。
「え、餌付けって・・・人を動物みたいに言わないで下さい!」
「だってよ・・・お前食い物につられただけだろ」
「ち、違いますって!!」
相変わらず失礼極まりない宗介さんに、私はちゃんと説明していく。食べ物をもらったことはもちろん嬉しかったけれど、それよりも一緒に話してみて、雰囲気がすごくいいなあと思ったこと。みんながそれぞれを信頼していて、とてもあったかくて優しい感じ。この人達と一緒にいたい、この人達のために何かしたい、そう強く思った私はその日の内に、マネージャーやらせて下さい、と自分からお願いしたのだった。
「そ、それに、今は仕事だってだいぶ覚えたし・・・水泳だって・・・好きだし・・・」
「はっ・・・そうか。そうだな、お前も頑張ってるもんな」
私がそう言うと、宗介さんはくしゃっと笑って、私の頭を撫でてくれた。絶対絶対、宗介さんはずるい。大好きな笑顔と大きな手に加えて、褒めてくれるなんて。どんなに腹が立っていたって、こんなの絶対許しちゃうに決まってる。