【刀剣乱舞】不死身審神者が死ぬまでの話【最強男主】
第3章 審神者になった白い鬼
「どういう、」
「貴方様と雪鴉は刀の付喪神と人間との間に生まれた特別な存在。混血でありながら純血の神さえ凌ぐ絶大な霊力と武力とを秘めておいでです。
しかし父である刀鍛冶・白銀風雲が刀に狂い約千人を殺した罪を償うため、朝廷に囚われ殺人と戦の道具となった。家畜同然に扱われる血塗られた生活に徐々に精神が崩壊していく弟の姿を見かねて、貴方様は朝廷に今までの二倍の働きをするのを条件に弟を解放するよう嘆願なされた。
雪鴉は何も知らないまま、二度と兄と接触しないことを条件に解放されしばらく隠遁生活を送りますが、兄である貴方様がまだ朝廷――いえ、この時は既に幕府ですね。幕府に囚われていることをようやく知り、貴方様の下へ駆けつける。
既にその時は当時の幕府は安泰しており貴方様を半ば放置していた。数百年も望まない殺生をするよう強いられ、尊厳を傷つけられ、貴方様は著しい心神喪失状態におられた。人間の愚かな営みに巻き込まれ傷つき果てた兄を見て、雪鴉は人間に絶望したでしょう。踏みにじられた兄の過去を変えるため、兄を陥れた人間たちを皆殺しにし、史実をねじ曲げようとしても何ら不思議ではありません」
そう唐突に、よどみなく語られたのは紛れもない、彼が過去に経験し、そして今もその精神を蝕み続けている悪夢の全容だった。けれどそれは人間によって語られると実に簡潔で、無慈悲なほど要領を得ていて、聞いている内に波立っていた心が徐々に落ち着きを取り戻していくのを感じた。言葉に変換して他者に語られるとこうも呆気ないものなのかと、どうしようもない空しさが冷えた頭の中で膨らんでいく。
「……よく知っているな」
「我々が調べて分からないことなどありませんので」