第3章 【軽くR】シリウスの本音(彼目線)
食事を終え、部下との話も終わったため、食堂を後にした。
執務室の机に積まれた、丸1日かかるであろうという量の書類の山を目の前に、短く息を吐いてから早速仕事に取り掛かる。
集中して作業しているうちに、時間はあっという間に過ぎ、気付くと太陽はとうに頂点を通り過ぎ、西に傾いていた。
ふと目を上げると、少し離れた場所に設置された机の上には昼食と思われるサンドイッチとコーヒーが置かれていた。近くに行くと、すっかり冷めたコーヒーの横に綺麗な字で書かれたメモがある。
"無理はしないでくださいね"
エルの心遣いに暖かくなったと同時に、昼食を置きに来た彼女に気が付けなかった自分に呆れ、申し訳なく思った。
夕食の時に謝ろうと決め、
一度大きく伸びをして、サンドイッチとコーヒーを腹に収めながら、残りの仕事を片付ける。
仕事が終わり、身体を伸ばしていると、ちょうど良く執務室をノックする音が聞こえ、扉からルカが顔を覗かせた。
「シリウス、夕食できたけど、すぐ食べる?」
「ああ、ちょうど今仕事が終わったところだから、食堂で食べるよ」
「分かった、シリウスの分もよそっておくね」
「頼む。ありがとな、ルカ」
「…どういたしまして」
静かに扉を閉め、ルカは走っていったようだった。
いつもはエルが呼びに来るため、違和感と嫌な予感を抱きながら、執務室を出た。
夕飯の匂いが漂う部屋に入り、まずはエルを探して見回すが、どこにも見当たらない。
「エルなら、さっき部屋に呼びに行ったら、食欲ねーって言って布団にくるまってたぞ?
まあ、熱はなかったし大丈夫だと思うけどな
…ったく、おっさんが余裕かましてるせいだかんな?」
後ろから来たフェンリルがそう言ってさっさと席に着く。
"熱はなかった"ということは、あいつはエルの部屋に入った上に、彼女に手を触れたということか?
どす黒く醜い感情が腹の底から湧き上がり、どっと溢れそうになる。しかし、最後のフェンリルの言葉がそれを抑えた。朝からのエルの様子を思い出して、あることに気が付いたのだ。
俺は、一言 フェンリルに礼を言ってエルの部屋へ向かう。
「本当、面倒くさいおっさんだよな」