第1章 秘中之秘【ヒチュウーノーヒ】
そうでありながら俺は………
あの雄々しい信玄様に抱かれる十参號を、何度も何度も妄想した。
逞しい胸筋、力強く太い腕、少し浅黒い肌の大きな身体に包まれる十参號。
信玄様の指が、舌が、十参號の身体中を這い回る度、その白い肌を桜色に染めて身悶えるのだろうか?
小振りで形の良い乳房を執拗に揉み拉かれて、その先端を尖らせては主君を更に煽るのか?
そしてあの美しい脚の間に顔を埋めた信玄様は十参號の敏感な部分を舐め啜り、数本の無骨な指で穿っては蕩けさせるのだろう。
その後はまだ誰も挿った事の無い固くて狭い中を、信玄様の摩羅が引き裂く様に奥まで突き上げて……
その時、十参號は痛いと泣き叫ぶのか?
それとも随喜の涙を流して啼き喚くのか?
どっちにしてもあの信玄様の事だ。
最後には必ず十参號を絶頂させて、自身もその中にどろどろの熱い白濁を迸らせ………
「……んぅっっ!」
気が付けば俺の右手は己自身が吐き出した粘着質な液体にべっとりと塗れていた。
そう、今の俺は毎晩の様にこうやって自分自身を慰めているんだ。
妄想とは言え、実妹を犯すのは自分ではなくて信玄様なんだと矮小な逃げ道を作って……。
何にせよ、俺がどれだけ悍ましいかなんて言う迄も無い話だ。
悪いな、十参號。
こんな矮小で悍ましい男がお前の実兄だなんてさ。
だけどそんな空しい事実は、最後の最後の最期まで俺一人だけが抱えて逝くから………
十参號……許してくれるよな?