第10章 似た者同士は惹かれ合う? 【緑間 真太郎】
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予想通り、高尾のクレープは美味しかった。
「ふふ‥‥やばい、ニヤけるほど美味しい」
「高尾にしてはよくやったのだよ」
「真ちゃんそれどゆ意味」
真顔で仏頂面だけど‥‥少しほわほわしてるのが可愛い。
美味しいもんね。
そんな姿の緑間を見ているだけで、幸せになれる気がした。
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私‥‥好きな人と相性が最悪だ。
だけど、この気持ちに嘘はつきたくない。
「‥‥真ちゃん」
「‥‥好きだよ──なんてね」
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「‥‥‥きろ‥‥‥おい‥‥‥」
‥‥‥ん‥‥‥
「‥‥‥───倉永」
「っ! はい!」
慌てて体を起こすと、珍しく緑間が私を覗き込んでいた。
睫毛、長い‥‥顔立ち綺麗‥‥
なんて、今更のように思う。
「ど、どうしたの緑間」
「話がある。来るのだよ」
‥‥‥話?
部活の後片付けを済ませて、緑間と一緒に体育館を出る。
「‥‥緑間。話って何?」
「大したことではないのだよ」
うーん‥‥答えになってないけど‥‥。
「倉永、お前──」
「!」
夜空と緑間がすごくマッチしてる。
綺麗──直感的にそう思った。
「高尾じゃなくて俺を選べ」
──え?
「ど、どういう‥‥」
何かの言い間違えとかかと思ったけど、そういう訳ではなさそうだ。
目がいつになく真剣。
「‥‥‥何故だか、お前と高尾が話していると癪に触るのだよ」
「え‥‥」
それって‥‥
「どう思おうがそれは勝手だ。
だが‥‥高尾は選ぶな」
「緑間‥‥」
告白? これって告白なの?
遠回しに告白?
「はっきり言ってよ」
「は?」
「どういうことか分かんないよ」
「っ‥‥」
顔赤い。
きっと私も赤いはずだ。
「‥‥何も言うことはないのだよっ」
「えー、じゃあ今のは無かったことに‥‥」
「っ‥‥バカか‥‥ッ」
「!?」
世界が流れるように過ぎていった。
「──っ緑間!?」
ハグ‥‥されてるの!?
「ちょ、苦し」
「お前が」
「!」
「少し視界に入っただけで胸が苦しいのだよ」
‥‥‥どうにかしろ、なんて‥‥‥
そんなの‥‥‥こっちの台詞だよ‥‥‥。