第8章 毎日恒例 【黄瀬 涼太】
「・・・・・・・・・言ったことはやり遂げる、とか?」
「なんで疑問系」
そして間が長い。
笠松にはプライドがないの?
「俺にもあるわ!!
・・・面と向かって何って訊かれると分かんなくなるんだよ」
「へぇ・・・」
自分が守り抜きたいこととかだと教えてくれた。
「用ないなら早く帰れ」と追い出され、渋々ひとりで帰路につく。
プライドなんて・・・ないなぁ。
こんなんで大丈夫なの? 私。
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「ユキミー、電話ー」
「えー?」
その日の夜、家電にかかってきた電話。
わざわざ家電って・・・何だろう。
「はい、もしもしー?」
『・・・・・・もしもし』
「・・・あ、笠松?」
『なんで訊くんだよ』
あれ、携帯の番号教えてなかったっけ。
「どうしたのー?」
『いや、今日黄瀬のやつ部活来なかったんだよ。サボりとかだと困る』
「・・・黄瀬に訊けばいいじゃん」
何となく察してしまって、怪訝な声が出てしまう。
『・・・お前から訊いてく「嫌だ。じゃね」あぁ!? お、ちょ、待て!!』
「・・・・・・なに」
あ、もしかしてこういうのがお節介?
・・・確かに嫌かも。
『・・・黄瀬のやつ、マジで来なかったんだよ。理由知らねぇ?』
「わからん。マジバでも行ってたんじゃないの?」
中学の頃の部活仲間とよく集まるらしい。
だけど、部活を放ってまで・・・なんて。
黄瀬らしくない。
『うーん・・・分かった。じゃな』
「はーい」
結局、携帯の番号を教え忘れてしまったけど。
そんなことよりも、黄瀬が気になって仕方なかった。
だけど・・・喧嘩した身だしなぁ。
私がなにか口を挟めることじゃない。
携帯を握りしめたまま、10分ほど唸っていた。
──黄瀬side─────---
「──帰してください黄瀬くん」
「もう眠ぃんだけど」
「もうちょっと付き合ってほしいッス!
奢るから!!」
黒子っちと火神っちはマジで眠そう。
申し訳ないけど、でも今は一人になりたくなかった。
ユキミっちに会いたくなりそうで怖い。
喧嘩した身でそれはないだろう、って思って。
この二人は俺がマネージャーと付き合っていることは知っている。
だけどユキミっちの顔は知らない。
相談相手には最適ってことッスよ!!