第7章 INTOXICATION 【灰崎 祥吾】
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仕方ねェからなァ・・・一応家に連れて来た。
母親は仕事なのか家にいなかった。
兄貴の靴もなかったからなァ・・・家には居ねぇんだろ。
ったく・・・迷惑な話だよなァ。
こういう状況に全く免疫がないオレには、どうすればいいのか分からなかった。
とりあえず寝かせておくか。
「・・・! あっちぃ・・・どんだけ高い熱なんだよ・・・」
デコに手をやれば、火傷するんじゃねぇかってくらいの熱さだった。
こんな体でよく学校なんか行けるよな。
「・・・ん・・・」
「!」
起きた・・・か・・・?
「・・・おい?」
「・・・すぅ──・・・」
・・・・・・寝てんのかよ。
なんだこいつ・・・人の部屋だって言うのに堂々と・・・。
今までのオレだったら、熱だろうが風邪だろうが欲のままにヤっていた。
だけどな・・・寝てるやつ襲っても面白くねぇしな。
「・・・情けってやつかな」
おい昔のオレ。
オレにもとうとう・・・情けが生まれちまったぜ。
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「・・・───っは!」
目を覚ましたとき、やけに辺りが静かに思えた。
規則的な寝息も聞こえない。
いつもと違う香りが無い。
・・・あいつが居ない。
「──どこだ──」
帰ったのか。
普通に考えたらそう思って終わりなのに。
妙にオレは、胸が締め付けられていた。
「──クソッ──」
部屋に連れて来てからおよそ20分。
まだ遠くには行っていないはずだ。
帰さねぇとか、そういうもんじゃなかった。
帰したくなかった。
「ッチ・・・・・・────!!!?」
「ぅわ!!!?」
──ち──
「ちいせぇ・・・」
「っ!?」
いやオレからしたら女はみんなちいせぇけどな。
こいつ・・・150前半くらいじゃねぇの?
「あ、あの・・・」
「あァ? ・・・・・・あ」
その小ささに愕然としていたが、自分の状況に我に返った。
「・・・退けろよお前」
「いや、その・・・足・・・」
「は?」
そいつの足・・・が、オレの足の下で絡まっていた。
押し倒された状態とはいえ、オレが足を退かさなきゃダメってことか。
・・・って、そう簡単に退かすか? 普通。
「・・・!? あの、」
「お前、処女?」
やらしく腰を撫でながら訊く。