第6章 幸せな家族 【虹村 修造】
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規則正しい寝息が部屋に響く。
日暮れのLAは、点々と明かりが点き始めていた。
只今、17時 30分頃。
修造が帰ってくるまであと30分だ。
ダイニングテーブルの上には、ほかほかと温まった肉じゃがが乗っていた。
あまり得意料理ではないが、修造が朝「和食がいい」と言っていたのを思い出したのだ。
修造が帰ってくる少し前に白米が炊けるように設定しておいた。
そんな中、はちは夢の中。
日の明るいうちにお義父さんのお見舞いに行き、買い物を済ませて帰路に着いた。
いつもよりも歩いたせいか、瞼が重かったのだ。
──・・・ピンポーン・・・──
「くー・・・かー・・・」
──・・・ピンポーン・・・・・・
・・・・・・カチャッ──
インターホンを押してから鍵を開ける人物なんて、この家でただ一人だ。
「ったく、はちのやつ・・・」
大黒柱、虹村修造が帰ってきた。
仕事帰りのこの姿は日本人となんら変わらない。
帰ってきたらインターホンを押して、と提案してきたのは彼女なのに、出て来ないとはどういうことだ。
「おーい、はちー」
「んー・・・くー・・・」
「・・・・・・寝てんのか、こいつ」
ソファに鞄と上着を放って、床に転がっているはちに近寄る。
そして、その頬を軽く叩いた。
「おら、こんなとこで寝てたら身体中痛くなるぞ」
「ん"~・・・」
唸るだけで起きる気配はない。
今日何度目かも分からない溜め息をついて、叩くのを止めた。
「・・・っしょ・・・・・・って重ッ」
いつのまにこんなに重くなったのか・・・。
横抱きして気がついた新事実だった。
そのままソファに寝転がして、そこら辺にあったタオルケットをかける。
「・・・肉じゃがか」
食べたかったものだったからか、はちの手料理だからか、頬が緩んできた。
ラップをぺらっと剥がした瞬間、炊飯器が電子音を響かせる。
「!! にじむー!」
「あ? ・・・起きたのか」
変な呼び方で勢いよく飛び起きたはち。
修造の姿を見つけた途端、ガバッと抱きついた。