第5章 そういうところも。【高尾 和成】
「・・・え」
す、き・・・?
ドクン
思い出したかのように鼓動が始まる。
そして、カーレース用のモーターみたいにどんどん速くなっていく。
え・・・
好き・・・?
「っ!!!!!?」
ドクドクドクって血が逆流するみたいだ。
顔に熱が集まってくる。
───き、
気づかれてたの!?
「・・・なっ、」
「・・・これは『スキなとこ』っていうより、俺の願望だけどな」
「!?」
綺麗な瞳に私が映る。
その目は、いつもの茶化すような目じゃなくて、射ぬかれる気がする目。
反射みたいに、目を瞑った。
こんなの、目を合わせられるはずがない!
「・・・ね、ユキミちゃん」
「っ!」
距離が近づく。
机に身を乗り出すような音が聞こえた。
離れなきゃ。
これ以上近づいたら、きっと・・・
「・・・離れて」
「!」
「それ以上来たら・・・もうダメだから」
「・・・」
「──好きって、言うかもしれないから」
消すなんて無理なんだよ、元から。
消せるはずない、友達のままで居れるはずがない。
和成を困らせたくないから黙ってたのに。
今のこの距離感が心地いいから黙ってたのに。
本人にそう言われたら──。
「・・・目、開けろよ」
後頭部に手が添えられた。
緩まりそうになる体にムチ打って、頑なに開けずにいる。
見れない。あの綺麗な目は。
「・・・俺、何すっかわかんねーよ?」
「・・・っ」
目を見たくないなんだのと言いながら、体は拒もうとしていない。
いや、拒みたくなかった。
どうせだったら、もうそのまま何でもしてくれればよかった。
そして冗談とか言って笑い飛ばしてくれたら。
それでいいのに。
それで───。
「・・・っ」
唇が熱くなる。
初めての感触は、言葉で言い表せないものだった。
「・・・はっ・・・・・・好きだわー・・・」
「!」
「そういうふうに真っ赤になるとことか」
「っな、」
そんなの、誰だって同じでしょ・・・。
「あ、もちろんユキミちゃんもマジラブだけどなっ!」
「!!?」
なんて言えばいいのか分からない。
この人は何を言ってるの?
「・・・なぁ」