第4章 とあるお話の裏では 【火神 大我】
純粋? ピュア?
それ故なのか、火神の爆弾発言は時々ドキッとさせられる。
いや別に純粋じゃないと思うけどね。
「ん、おいし」
「マルゲリータ派なんだな」
「昔はテリヤキチキンだったけどね」
やっぱりマルゲリータの味がしっくりくるんだ。
大人になれた証拠だろうと思って誇らしく思っている。
「・・・あー」
「?」
「・・・しあわせ」
なんか、あれみたいじゃない? これって。
言うのも気恥ずかしいけど、なんていうか、新婚みたいというか。
全くそんな未来図考えてないけど、火神となら結構楽しくやっていけるかもしれない。
「・・・昔さ、」
「ん?」
「『手のシワとシワを合わせて、しあわせ』って教えられたの」
「シワ?」
「そ。手繋いだりとか」
「へえー」
「・・・ずっとそう思ってたけど、違った」
「?」
・・・手を繋いでなくたって、傍に居れたら幸せだった。
ボスっと後ろに寄り掛かった。
私の2倍かってくらい大きな火神の体は、私をすっぽり収めてしまう。
それに安心感がある。幸福感がある。
「出会えて幸せだよ。火神」
首元に額を寄せた。
もう少しでお昼休憩が終わっちゃうけど、今だけはすぐ傍に居させて欲しい。
「・・・? かが───ぅわっ!?」
「・・・・・・お前さー・・・」
全く喋らない火神の表情を伺おうと頭を上げたら、首元に押さえつけられた。
押さえつけてる手が熱い。
額に当たる首が熱い。
それだけで、心臓が跳ね上がる音がした。
「──っ、ちょっ、」
耳から伝わって、背中を何かがゾクッと駆け巡る。
耳から直に聞こえてくる音が、やけに体に響いた。
「ッ・・・何、すんの・・・っ」
「・・・別に、なんだっていいだろ」
答えになってないよ・・・。
心臓がバクバクしている。
体がビクつくのは、大きい鼓動のせいなのか、それとも別の理由なのか分からない。
「・・・ユキミ」
「!」
「・・・一回しか言わないからな」
「う、うん」
声が震えてる。
緊張で涙が出てきた。
「結婚しようぜ」
・・・え。
「──えぇえ!?」
けっ──結婚!?
「つっても、俺はまだ出来ねぇから婚約ってことだな」
「っ!? ・・・っ!?」
「・・・嫌か?」
──嫌なわけ、ない。