第4章 とあるお話の裏では 【火神 大我】
「かかかっかか火神ッ!?」
「ボロいロボットじゃねぇんだから」
不機嫌、というか気まずそうな顔をしながらピザを手渡してくる火神。
そしてズカズカと部屋に上がった。
──上がった!?
「ちょっちょいちょい! 何してんの!」
「いやな、お昼休憩もらったからここで食ってこうと思ったんだよ」
「いや勝手に決めないで!」
え、いくら部屋が隣だからってこれ!?
これアリ!? 実はアリ!?
乙女的には喜ぶべき!?
「い、一応思春期なんですが」
「? 関係あんのか? それ」
まるで当たり前のようにソファに座り込んで、隣をペシペシと叩く。
・・・座れってこと?
「いや出てけよ」
「少しくらい休ませろよ」
な・・・・・・なんだ、コイツ・・・。
もう追い出すのは諦めて(なんか早いけど)、隣にドッカリ座り込んだ。
不機嫌さ丸出しにしたつもりで。
「・・・そう怒んなって。ピザ食べようぜ。マルゲリータだろ?」
「・・・うん・・・あれ、なんで知ってるの?」
匂い・・・か? 野生の勘、的な?
怪訝に火神の方を振り返ると、ニヤリと微笑まれた。
・・・・・・ん?
「・・・注文とったの、俺」
「・・・・・・・・・・・まじで?」
「まじまじ。お前からの電話だったからな、ちょっとだけ言い方と声変えて出た」
「・・・全く分かんなかった」
確かに、ちょっと若そうな声だなとかは思ったけど
まさか火神だったなんて、ねえ。
「最初からここで食べるつもりでLにしたの?」
「ん? んう」
早速食べはじめてんじゃないよ。
いただきますしたの?
「料金の半分は貰うからね」
「おーおー」
袋に入っていた黒い炭酸をプシュウと開けた。
なんだろう・・・変な気分だ。
バイト中の火神が、自分の部屋で昼食を食べてる。
ピザ屋の制服だし、何気似合うし、なんか、変、な感じ。
「・・・・・・なんだよ」
「! なんでもない!」
やば気づかれた。
うわー熱い。恥ずかしすぎる。
・・・見惚れてたとか、ないわー。
「・・・ユキミ」
「な、なに」
「・・・ん」
「ん?」
ポスポス。
火神の膝が叩かれる。
・・・は?
・・・え、何?
「・・・何?」
「座れ」
「え」
・・・え、そういうことなの?