第2章 明日またね。 【宮地 清志】
──────---
近況報告みたいな感じで、時は刻々と過ぎていく。
都心の方の大学に行くらしくて、そこでもバスケはしてみたいらしい。
それを聞いて、卒業するんだ・・・と実感。
先輩がいない残りの2年間を充実して過ごしていけるかな。
「・・・まぁお前は、頼れるやつだし。
頑張れるだろ?」
「っ・・・はい・・・」
うぐ・・・お兄様・・・。
「っ! そういえばこの前高尾くんが私のこと壁に放置してきて・・・っ」
「!? ・・・何だそれ」
あれは怖かった。新手のいじめかと思った。
ある日突然、高尾くんに壁の出っ張りに座らされた。
2メートル近くあって、結構怖かった。
緑間くんに見つかって怒られたけど。
「・・・チッ・・・高尾・・・」
「いや、不注意な私が悪いし・・・・・・ねぇ?」
「いや知らねぇよ」
ぺしっと叩かれ、前のめりに傾いた。
その瞬間、涙が溢れそうになって。
本当は、くだらない話で誤魔化したかっただけだった。
あれ以上なにか話してたら、きっと泣いてたから。
卒業だなんて、思いたくない。
「・・・・・・ユキミ?」
「ッ・・・・・・・・・・っ~・・・」
やばい、流れる。
いつまでも傾いてる姿を怪訝に思ったのか、回り込んできた。
絶対に不細工な泣き顔なんて見られたくなくて、ブロック塀に顔を打ち付ける。
「!! おい!?」
「いえっ・・・痛くないです大丈夫ですから!」
額がジンジンする。
でもちょっと・・・引っ込んだかもしれない。
「・・・・・・ユキミ」
「とんでもないです」
あああ何言ってんの!!
「・・・・・・別に、泣いてても何とも思わねぇから。な?」
「・・・・・・・・・泣いてないです」
「じゃあこっち向け」
「ちょっとブロック塀が恋しいので待ってください」
「・・・・・・」
変な沈黙が流れる。
いや私の発言のせいでしょこれ。
何だよ『ブロック塀が恋しい』って。変人じゃん。
「・・・・・・!!」
ふわっと。
本当に雪みたいに、頭の上が温かくなる。
そのままクシャクシャに撫でられて、
猫はこんな気分なのかな、と思った。
「・・・・・・お前は大丈夫だ。信頼してるからな」
・・・・・・違う。
不安だから泣いてるんじゃない。
あぁもう。
どうしたら伝わるのかな。