第2章 明日またね。 【宮地 清志】
───部活───
「───った、か、お~~・・・!!」
「ひ!? え、何だよ怖ぇよ!」
体育館で高尾くんの顔が見えた瞬間、
籠からボールを取り出して投げつけた。
・・・危ないから誰も真似しないで下さい。
「よっ、余計なお世話しないで!!
私は・・・タイミングをちゃんと見てるから・・・っ」
「・・・・・・ほんとか~?」
ニヤニヤと。
彼の目は『言い訳だろ?』と語っている。
確かに・・・言い訳かもしれないけど。
それでも・・・私は・・・。
「~っ!! もうあんなことやめてね!?」
「へいへ~い」
ひらひらと手を振って、高尾くんは練習を再開した。
もう・・・。
「───!?」
え、
「っな、」
「ははっ、まぁ・・・頑張れよなっ!」
「!」
頭から手が離れて、一瞬だった温かさが消えていく。
クシャクシャになった鳥の巣頭。
冷たくなってきていた心が、
こんなひとつの事で温かくなっていくのを感じた。
撫で回された頭から、全身に力が注ぎ込まれてるみたいだ。
───と、そのとき。
「───っ高尾ォォォッ!!!」
「!?」
「うわやべっ」
「───み、」
宮地さん!!!!?
鬼の形相の宮地さんが突進してきていた。
「おらテメェ轢くぞ!! いや焼く!!!」
「それどっちも死亡フラグ立つっすよ宮地さん!?」
「この際地獄に落ちろ!!」
「・・・っ!? ・・・っ!?」
・・・な・・・何が起きてるの・・・。
宮地さんが登場してきた扉からは、
なんと3年生の先輩方がぞろぞろやって来た。
「先輩っ!!」
「おう、やってんなー」
「おい高尾ー、あんま宮地怒らせんなよー」
「いやそんなこと言ってないで助けてくださいよ!!」
・・・ちょっとよく分からないけど、高尾くん謝りなさい。
「どうしたんですか?」
「差し入れ持ってきたんだよ。
頑張ってるの見てたからな」
「くぅ・・・大坪さん・・・!」
お兄さん・・・っ!!
感謝しかない・・・。
っていうか・・・、
───やっぱすごいな・・・。
先輩が来ただけでこんなに明るくなった。
なんのパワーですか。
辺りを見渡して感無量になっていると、まだ宮地さんにボールを投げつけられている高尾くんが居た。