第1章 ◆Fly high◆(執事サイド)
これだけ無理矢理挙式を早めておいて、なお直前で逃げられる…なんて、赤っ恥もいいところ。北条家もそうだが、どちらかと言えば新郎側の打撃の方が世間的にも大きいのは間違いない。
なんせこの結婚において最も重要なのは、他でもない“体裁”、なのだから。
『あの大財閥北条家の美人姉妹を嫁に貰った』というその事実が欲しいだけ。もちろん当事者二人の気持ちや意向なんてまったく無視。お二人に愛があろうとなかろうと、それは問題ではないのだ。
だから、もしかしたら昨夜のことも大した問題ではないのかもしれない。カタチだけでも結婚してしまえば、あとはどうとでもなるのだから。
そう
たとえ花嫁が
他の男の子供を宿していようとも。