第2章 ◆Dear◆(妹サイド)
~式前日~
「ないって…どういうこと!?」
「ですから…『早めに手元にあるとなくしてしまいそうだから』と美羽お嬢様がおっしゃったのでぇ、式の直前に仕上がるよう手配していたんですよ…」
「もう式直前じゃない!本番は明日よ!?」
「ですから~。まさか式が早まるなんて想定外で…。それも急でしたし?この私が知ったのですらほんの数日前で…」
「そんなの知らないわよ!」
「関係各所との細かい詰め作業諸々、まさに殺人的にバタついてましたしぃ…。それもつい今しがた、何とかようやく落ち着いたところで…。ま、ぶっちゃけそっちのことなんてまったく頭になかったというか…ブツブツ…」
「なにゴチャゴチャ言ってんのよっ?今から業者に連絡して!間に合わせて!」
「ハイ…。え~と…。…」
まだ昼だし、今からでも十分間に合うわよね?大丈夫、よね…?
「…あの~、美羽お嬢様。大変申し上げにくいんですが…」
電話を片手に、櫻井がこっちを伺ってる。
「なにっ。何か文句言われたのっ?」
「というか…。指輪を依頼した業者なんですが、今日明日とお休みのようで…」
「へ?」
「電話が、繋がりません…」
「―――」
何よそれッ!?