第1章 ◆Fly high◆(執事サイド)
あれから、八年か。
いろいろあった。本当に、いろいろ。
互いの関係はより深まっていたと思う。
時間とともに積み重なっていったものが、それだけ絆を強くして
いろいろなものを、強くして
「…」
運命
ってやつを、どこかで期待している自分がいる。この期に及んで。
例えば昨夜、初めて交わったふたつの想いが
愛が
カタチとなって、息づく、未来…。
断ち切られた関係がもし、再び繋がるとしたら
ふたりの間に本当に赤い糸があるなら
それを結ぶのは
きっと――…
「…はっ」
バカか俺は。ホント愚かだな。何を期待してる?執事失格もいいところだ。自分で笑ってしまう。
もう、潔く辞めようか。美羽には悪いが、俺には北条家にいる理由がもう…。