第1章 ◆Fly high◆(執事サイド)
…いや、さすがに。続けらんなかった。ブラとパンティーだけにして、さあいよいよ――…ってな状態だったんだけどね?下ごしらえの済んだ美味しそうな獲物がまな板の上にいる状態だったんだけど…
無理よ、やっぱ。そこはいけなかった。だって鬼畜じゃないし、俺。もちろんヤル気満々だったから、ちゃんとアレも用意してたけども。バッチリ箱ごと?
そういうワケだから。そりゃね?
「まだなンもしてねぇし――――ッ!!!」
ってムンクばりに叫んだよね(もちろん心の中で)。
意識のない相手に、しかも処女相手に、さすがに…できないでしょ。それ以上のことは。いくらお願いされてたことでも、本人意識ないんじゃ意味ないんだろうし…。
けど、惚れてる女の半裸を目の前にして、寸前で我慢したんだ。キスマーク残すくらい当然の権利でしょうよ。ねぇ?
でもホント、あん時よく我慢したよなぁ…。我ながら。お嬢様意識ないんだし、逆に全部脱がせて隅々まで見ちゃうことも、何ならおっぱい揉んどくくらいできたろうに。ホントに一切余計なとこ触らなかったからね。
ていうか、無責任にスヤスヤ寝息ぶっこいてる獲物に、ちゃんとパジャマまで着せて、何事もなかったかのよーにベッドに収納してから部屋出たからね、俺。泣けるでしょ?…切なすぎて。しかも翌朝まさかの虫扱い…。
あーもうっ!だから思い出したくねーんだよ、この時のことはっ。
ま、アレだな。ちゃんと用意してた点だけは、今より優秀…いや、実行しなかったんだから、むしろ当時の方が“優秀な執事”だったのかもね。