第1章 ◆Fly high◆(執事サイド)
で
美月には心身の負担にならないよう“最近新しく入った見習い”と紹介していたその二人だが…
ひとりは細身で長身、笑顔の印象的な老婆。年のせいかとんでもないボケをかます天然キャラで、なかなか人を和ませるのが上手い。すぐうちの使用人らにも好かれ、相当プライベートな情報まで聞きだしていたようだ。
『盛り上がってついつい余計なことまで喋ってしまって…』by使用人A
…あなどれん。
そしてもうひとりは小柄で色白、実年齢よりかなり若く見える外見…とは裏腹、相当な切れ者。恐ろしく懐に入り込むのが早く、まったく違和感なくうちの面々に溶け込んでいた。話術も非常に巧みで、火のないところに沸いたような信憑性の薄いささいな噂話まで、しっかり収集していったと思われる。
『的確に合いの手やツッコミを入れてくれるから、気付いたら長々といろいろ話してしまっていて…』by使用人B
…聞き上手!
ま、ぶっちゃけ…スパイ?だよね。この二人。
結婚は前々から決まっていたこととはいえ、なんせ家同士の政略的な色合いが濃い。というかほぼほぼそれ目的なワケだから、迎え入れる側にしたら北条家の現状を調査しておくのはマストだろう。