第1章 どうして
はぁ・・・疲れた。今週は土曜まで仕事だったからやっと明日休み。クタクタになって駅からの道の帰路を急ぐ。
マンションの階段を登る足取りが重い。今週は根詰めた仕事が多かったから余計に疲れている。
やっと登り終わって玄関に近づくと、家の前に黒いジャンパーにキャップを深く被った男性らしき人がしゃがみこんでる。
恐る恐る近づくと・・・。
**「え・・・」
岡田「・・・おかえり」
**「じゅん・・いち・・・?」
岡田「ごめん・・・。」
階段の方から人の声がしたので、慌てて岡田を部屋に招き入れ玄関のカギを閉めた。
**「・・・どうしたの・・・?」
岡田「あ・・・いや・・・」
**「まぁ・・・取り敢えず、中・・・」
岡田「うん・・・。」
家の前にしゃがみ込んでいたのは、ずっとずっと忘れらなくて何度も泣きながら名前を呼んだ、岡田准一、その人だった。
**「今・・・コーヒー淹れるから座ってて。」
岡田「・・・悪い・・・」
淹れたてのコーヒーを持ってテーブルに向かう。
キャップは取ったけど、岡田はずっと下を向いている。
目の前にコーヒーを差し出して言葉を探す。
**「あ・・・結婚おめでとう。よ、良かったね、結構、長かったもんね・・・」
岡田「・・・・。」
**「幸せそうで何より。」
そう言って笑って見せた。
岡田「・・・そんな風に見える・・・?♪のことやから、気付いとるんやろ・・・」