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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第5章 「恋」




「ご、ごめん雪…実はチョコの材料買ってる時に夢野さんに捕まって…」
「逢坂、ウチもチョコ作りに混ぜてくれんか。人のお家に上がる時に大切な手土産もちゃんと持ってきたぞ」


よくわからないけどどうぞ、と促し、とりあえず2人とも通すことにする。学内外を気にすることなく魔女の帽子を被ったままの彼女は、逢坂とは面識がなかったはずだ。隣のクラスの生徒だとは知っていたが、なぜ家まで押しかけてきたのか謎でしかない。


「ほれ、手土産じゃ」
『…どうも。で、なんの御用?』
「特にこれといった用もない。…赤松がケーキを主と作るというから、余ったものにありつこうと思ってな」
『……そんな理由で話したことない相手の家に来る?なわけないよね、バカにしてるの?』


正直に話せ、という逢坂の視線を浴びた夢野はひとたまりもなく、んあーと小さく鳴きながら目をそらした。


「…な、なんでも良いではないか。これを機に、超高校級の魔法使いである夢野秘密子とお友達になれるかもしれんぞ」
『科学者と魔法使いって相性悪いと思わない?話誤魔化すようなやつとお友達にはなれないな』
「…ん、んぁぁー…」


夢野が困ったように赤松を見上げる。赤松は、もう正直に話すしかないよ、と困り顔で提案した。


「……ウチも、チョコを渡したい相手がいるんじゃ。しかし、何度やっても上手くいかなくてな…泣きべそをかきながらまたチョコの材料を買いに行ったら、赤松に会ったのじゃ」
「ものすごい勢いで号泣してたから放っておけなくて…ごめん、雪。勝手に人数増やして申し訳ないんだけど、夢野さんも一緒に教えてもらえないかな?」
『…そういうことか。ならいいけど。よろしく、夢野』


数々のチョコの残骸を弔ってきた時のことを思い出し、また泣きべそをかきそうになっていた夢野の頭を赤松と逢坂が撫でた。その雰囲気を断ち切るように、赤松が元気な声を上げた。


「よしっ、じゃあ逢坂先生!お願いします!」
「めんどいが、がんばるぞ。真心を伝えるために、今回はウチの魔法は使わん!」
『…大丈夫かなぁ。私別に料理系の才能じゃないから、黒いダークマターを生産する楓とチョコ殺しの異名を持つ夢野2人の面倒見れないかもよ』


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