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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第1章 ガラスの向こうの横顔




「ま、最原ちゃんの言う通り嘘なんだけどね」
『えっ』


最原が珍しくムッとした顔をした次の瞬間には、しれっとした顔で王馬が笑っている。
その変わり身の早さに、逢坂は腕を組んで少し考えた後、王馬を見つめて問いかけた。


『王馬くんって超高校級の嘘つきなの?』
「えー何その肩書き、それもいいね!でも違うよ。オレの才能はもっとポップで世界に愛されるものだからさ」
「逢坂さん、これは王馬くんの個性なんだ。気をつけてね、結構わかりづらい嘘ついてきたりするから」
『何割が嘘で何割が本当なの?』
「9割ほんとだよ」
『へー』
「嘘だよ」
『……ん?』
「…王馬くん、あまり逢坂さんを混乱させないであげてよ」
「えー。でも混乱してるのかな?どっちでもいいって反応じゃない?」
『あぁ、うん、どっちでもいい』
「え」
「にしし、まぁ実際嘘でもほんとでもどっちでもいいよねー面白ければさ」
『そんなに嘘が好きなの?』
「そうだよ。オレは超高校級の嘘つきだからね」
『王馬くん身長何センチ?』
「うわぁスルーした上にどぎついとこくるね。…159センチだよ」


逢坂は足を止めて、ぽん、と王馬の頭の上に手を置いた。
そして自分の身長と比べた後、クス、と笑った。


『……嘘だ』
「ねぇ、今の誘導尋問じゃない?別にオレとしては嘘つくつもりなんてなかったけど、完全なフリだったよね今のは」
『そうなの?まぁとりあえず歩きなよ』
「それに人の身長を笑うのは良くないよ!男子高校生は、急激に成長を遂げるバケモノの一種なんだからね」
『言い方。…でもそれこそ嘘っぽいな。可能性の話でしょ?』
「嘘じゃないよ、ほんとだよ!」
『えー?』


クスクスと笑う逢坂に、王馬が珍しく食い下がる。
よほど身長のことを気にしていたのか、それとも逢坂の身長と比べられたのが男心的に傷ついたのか。
じっと観察を続けていた最原だったが、気がつけば、逢坂の笑い顔に見惚れていた。
なんだか今日の逢坂は、自分と二人でいる時よりカラカラと笑っている気がする。


『ところでその髪はくせっ毛なの?触ってもいい?』


逢坂が気を使ってか、珍しく自分から王馬に話しかけた。
すると、二人は最原が言葉を挟む余地もなく、言葉の応酬を始めた。


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