第4章 大嫌いなサンタクロース
『…キーボは、留守番寂しくない?』
「寂しくないです。ボクはまだ、博士のサポートをしていくには人の感情や思考の知識が足りませんから。勉強しているうちに1日が過ぎていきます」
『…そっか』
会話をしながら、放棄していた携帯のメッセージの確認を再開した。
すると、数日前から最原からも、赤松からもメッセージが入っていたことに気づいた。
最原からは、赤松さんに駅前のパフェを食べに行こうと誘われたんだけど、一緒にいかない?というメッセージだ。
逢坂が返信をしなかったからか、それ以降のメッセージはきていない。
赤松からは、最原とパフェを食べに行こうとデートに誘ったのだが、意図に気づいてもらえなかったようで、声をかけられたらなんとなく話をそらしてほしい、というお願いメッセージだった。
(……みんな、愛だの恋だの苦労してるんだな)
自分は、クリスマスが近づいているというだけでそこまで積極的にはなれない。
むしろ気分は落ち込む一方だ。
逢坂はまたソファに倒れて、目を閉じた。
『…キーボー…毛布とって…』
「寝室で寝たほうが寝心地はいいんじゃありませんか?それより、王馬クンとの待ち合わせは大丈夫なんですか?」
『……あぁ、もういるから王馬』
「いるんですか⁉︎」
少し目を閉じて横になっている間に、また眠りへと落ちていった。
数時間二度寝して、昼過ぎに起きたのだが、まだ王馬は起きてきていないようだった。
『…ちょっと様子見てくる』
「はい!」
自室に戻り、着替えを取りに行くついでに王馬の様子を見に行くことにした。
ベッドでヤッチー君にしがみついて眠ったままの彼の寝顔は、同い年とは思えないほど可愛らしく、幼かった。
『……?』
着替えをとって、部屋を後にしようとした時。
違和感に気づいた。
ベッドに近寄り、王馬の顔を見下ろす。
いつもより血色がいい気がする。というより、顔が火照っている?
『…あれ』
額に手を置くと、王馬の体温がいつもとは違う気がした。
彼の首、頬に触り、逢坂は一つの結論に至る。
『……熱?』
王馬の身体が熱い。
膝立ちをして、王馬のスカーフを外そうとしたところで、ぱちりと彼が目を開けた。
一瞬の沈黙の後、王馬はじっと逢坂の手元を眺めた。