第4章 大嫌いなサンタクロース
プレゼント?
昨日、天海から帰り際お土産の入った紙袋を貰ったのは覚えている。
プレゼントといえばそうだが、なにか言い方が引っかかる。
思い返せば、昨日王馬と言い合いになったせいで、中を確認していなかった。
いつも天海と会った時にお礼を言っていたのだが、今回はなぜか電話してまで感想が確認したくなったのだろうか。
『ちょっと待って、実は昨日どたばたしてて…』
リビングに置いてあった紙袋から、お菓子や置物など、北欧にちなんだお土産が出てくる。
その紙袋の底に、ひとつだけ丁寧に包装された小さな箱があった。
『……プレゼントってこれ?』
包装紙を剥がし、箱を開けると、そこには翡翠色の石を使って作られた、ストラップがあった。
『……え、これはお土産ではないの?』
<北欧で買ったには買ったんすけど、それだけは俺から逢坂さんへのクリスマスプレゼントっす>
クリスマスプレゼント、という単語に、逢坂は固まった。
そしてしばらく事態が飲み込めず、ぼそりと呟くように天海に問いかけた。
『今日何日?』
<え?俺がいるロスが23日なんで…日本は24日っすかね>
『………マジか』
<……あれ?もしかして、俺が昨日誘ったの、特に何でもない日のデートだと思ってました?俺は父親の仕事の関係で24日は日本にいないんで、せめて23日にって意味で誘ったんすけど…。あー、逢坂さんは完全に友達として遊んでくれてた感じっすか?めちゃくちゃ恥ずかしいっすね、とんだ勘違いして浮かれてたっす>
急にあわあわとしだした天海。
逢坂は何とフォローしていいのかわからず、電話口で頭を抱えた。
(……そうだ、天海は24日、ロスのパーティーに出席しなきゃいけないっていつか話してた)
完全に日程が頭から抜け落ちていた。
だから天海はいつもとは違う距離感で接してきていたのか。
家まで迎えにきてくれたし、家まで送ってくれた。
今ようやく理解できた。
『ご、ごめん……プレゼント用意してなかった』
<あぁ、それは俺が勝手にあげただけっすから。天然石のパワーストーンっす。年末の学会、頑張って欲しいんで>
『ありがとう、帰ってきたらお返しするよ。……えっと、ごめん、昨日は……その、何も考えずに出かけたというか、何も考えず楽しんじゃって…』