第4章 大嫌いなサンタクロース
「おはよー逢坂ちゃん!今日のデートの約束、忘れてないよね!」
『……忘れてないけど…早すぎない?今まだ7時…』
寝ぼけ眼の逢坂は、まだパジャマを着たままだ。
自宅に泊まりにきたことのない王馬からしてみると、その姿は新鮮だったらしい。
何かパジャマについてコメントしているようなのだが、頭が回らずに、逢坂には彼の言っていることが理解できない。
「オレも一緒に二度寝していい?」
『……いいんじゃないかな。ちょっと二度寝してくる』
「……え?やったぁ、じゃあ逢坂ちゃんの部屋行こ!」
(眠すぎてどうしようも……なんでついてくるんだろう)
雑に会話を終わらせた。
けれど王馬は、なぜか当たり前のように逢坂の手を引いて寝室までついて来る。
特に突き放す攻撃的な気持ちにもならず、眠くて朦朧としながらベッドに潜ると、さっきまで逢坂が寝ていた体温の名残とは別に、隣に温かいものを感じて、目を開けた。
『……王馬も寝るの?』
「オレ昨日一睡もしてないんだよねー、仕事終わらせてきたからさ」
『……』
だからってなぜ。
そう言ってやろうとしたが、頭を撫でられる感触が心地よくて、反論できない。
たまに額に触れる彼の指先は、外にいたからなのか冷たくなっている。
『……手』
「ん?」
王馬の手を取り、包み込むように握った。
すると彼はこれ幸いと手を離し、抱きついてきた。
(……冷た………まぁいいや……)
その体勢のまま、またうとうとと眠りにつきそうになったのだが、逢坂よりも早く寝ついたらしい王馬がぐるんと大きく寝返りを打った。
…自分から寄ってきたくせに。
とイラッとしたせいで、また眠りが遠のいて行く。
少し時間が経ち、眠りに落ちる直前。
(……添い寝っていつぶりだろ)
そんなことを考えて、穏やかな気持ちになりながら、意識を手放そうとした。
しかし次の瞬間、不意打ちのような衝撃を腹部に感じる。
その結果、ベッドから派手に落下し、頭を盛大に床に打ち付けてしまった。
『いっ……』
何が起こったのだろう。
逢坂はむくりと起き上がり、先ほどまで寝ていたベッドを見ると、逢坂が横になっていた位置に王馬の足があった。
(………蹴られた?)