第4章 大嫌いなサンタクロース
『…あぁ、あのどうしようもない弁明をまとめてくれるのか。それはどうも』
嫌味たっぷりに感謝の意を表すフリをしたが、そんな嘘を真に受けて(相手にせず)、王馬が「どういたしまして!」と返答した。
「つまり逢坂ちゃんは、弱ってる時に側にいた同級生のうちの1人でしかない何とも思ってないオレにうっかりキスしてしまったものの、実はそれはファーストキスだった!オレが嘘つきじゃない信頼できる奴だったらまだ初彼として付き合うことも考えてみようかなって感じだったけど、逢坂ちゃんのトラウマか自論が邪魔をしてその段階には至らない。要するに、逢坂ちゃんはだいぶこじらせてる処女ってことだよね!」
『まとめ方が酷い』
「なにさー、だいぶオレとしては譲歩してやってるんだからね。本来なら逢坂ちゃんは警察に突き出されてもおかしくない同級生を襲った身分なんだからさ。トラウマなんてどうでもいいから責任取ってよ!」
『いつ牢屋に入ってもおかしくない奴が言うセリフじゃないな。どうでもいいってわけにはいかないからトラウマなんでしょ』
「あ、やっぱ自論じゃなくてトラウマなんだ。まぁどうせ逢坂ちゃんのことだから、人の気持ちズケズケ踏み抜いてブチ切れられちゃったんだろうねー」
『………そうなのかな』
「知らないよ、話してくれないんだもん。あーぁー話してくれたら少しは力になるのになー」
『………』
逢坂は王馬の座るソファの隣に座り、しゅん、としてしまった。
その様子を見て、王馬は一考し、また口を開いた。
「で、オムライス作ってくれるんでしょ?」
『……うん、気持ちを込めて玉ねぎ増し増しで』
「その気持ちって胃もたれする系のどす黒い気持ちだよね。そんな隠し味いらないから萌え萌えビーム見せてよ」
『いやだよ…キーボ呼んできて』
「いいよ、土下座してくれたらね」