第4章 大嫌いなサンタクロース
てことは、結局また信用問題に戻るのか、と王馬は困ったような顔をした。
逢坂は今までの会話を頭の中で振り返り、あれ、と疑問に思った。
(……違うな。話の筋がずれてる。私が言いたいのはそんなことじゃなかったはずだ)
『……あのさ』
「ん?なに、逢坂ちゃん」
『私は、王馬と過ごすの好きだよ。悪者だなんて思ったことないし、邪魔な時はあるけど、嫌いじゃない』
王馬は目をぱちくりとさせて、小さな声で、うーん、と言いながら思考を巡らせた。
そして話の論点を思い出したのか、ようやくパッと笑ってみせた。
「それがオレに帰って欲しくない理由?」
『…うん』
「なにそれ、やっぱ邪魔な時あるんじゃん!これ以上友達いなくなっても知らないからね!」
でもまぁつまらなくない答えだからいいや、と王馬は笑った。
やせ我慢していたのか、少しひんやりとする玄関ホールから、王馬はそそくさと逢坂の手を引いてリビングへと戻っていく。
雰囲気が少し柔らかくなった王馬を見て、逢坂はホッとした。
さっきも座っていた王馬お気に入りのソファまでたどり着くと、彼はどさっと家主のように堂々と足を組んで座った。
そして彼はビシッと逢坂に向けて指をさした後、張りのある声を発した。
「さっきの逢坂ちゃんの稚拙極まりないグダグダで人でなしの弁明をオレの包容力を全て限界まで酷使して代弁すると、こういうことだよね」