• テキストサイズ

【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第3章 不在の代償




次の日、昼頃になって天海が逢坂を迎えに来た。
見送ってくれようとするキーボを振り返って、逢坂がなにかを言い渋った。


「どうしました、逢坂博士」
『もし、王馬が来たらさ』
「はい」
『……冷蔵庫にプァンタあるから、それ渡して私の部屋に入れといて』
「えっ?博士の部屋に入れていいんですか」
『もし来たらね』


(この罪悪感は一体……)


本命の恋人がいるのに、他の異性と一緒に遊びに行く感覚と似ているのではないだろうか。
しかし逢坂と王馬は付き合ってなどいない。
キスをしたのはあの日だけの事だし、王馬もあの日のことをいじりこそすれ、同じように距離を詰めてくることもなかった。


「博士?天海クンを待たせていますよ?」
『……あ、行ってくる』
「いってらっしゃい」


一旦保留し、屋敷を後にした。
門の外で待っていた私服姿の天海は、普段より数段アクセサリーの数が多いが、それをうるさく感じさせないほど垢抜けている。
通り過ぎ行く女性たちが、二度見せずにはいられないほどの容姿だ。


「あ、逢坂さん。おはようございます」
『……おはよ、待たせてごめんね』
「大丈夫っすよ。じゃあ、行きましょうか」


ファンの子に後ろから刺されたりしないだろうか、という不安が頭をかすめる。
斜め45°後方を歩く逢坂を見て、天海は律儀に歩幅を合わせてくれる。


「どうしたんすか?いつもより歩くスピードがゆっくりっすね」
『いや、特に意味はないんだけど』
「逢坂さんの私服、初めて見たっす。大人っぽい感じっすね」


可愛いっすよ、と事も無げに褒めてくる天海。


『…女慣れしてるなぁ…』
「違いますよ、妹によく聞かれてたんで、答え慣れてるだけっす」
『仲良しだね』
「……そうっすね。それより、パフェ食べた後、何かしたいことありますか?」
『うーん…何かあるかな』
「王馬君とはいつもなにして遊んでるんすか?」
『やたら王馬が気になるんだね…甘いもの食べたり、ゲームしたり、どうせ家まで来るならって買い物手伝わせたりしてた』
「なるほど。…この前、コメディ映画を一緒に見たって言ってたっすよね。映画好きなら、映画見ません?俺ここ数年映画って見てないんすよ」
『え、そんなに長い間?』




/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp