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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第3章 不在の代償




『なに?』
「…いや、逢坂さんって王馬君のことあんまり悪く言わないっすよね」
『…友達だと思ってるからかな』
「呼吸するように嘘つかれても友達なんすか?」
『生きていく上で嘘は上手い方がいいと思う』
「一概に嘘が悪いものとは思わないっすけど…」
『それに、王馬は笑いのセンスがあるから』
「笑いのセンス?」
『一緒にコメディ映画見てても、笑うところが一緒だから、嘘も笑える』
「……へー」


よくわからない、という天海の表情を見て、逢坂が「それはおいといて」と話題を変えた。


『本当についてくるの?』
「はい」


躊躇いなく答える天海に、逢坂はため息をついた。


『……まぁ…もう着いたんだけどさ』
「え?」


逢坂の立っている近くには、彼女の身長の2倍は越す門があった。
天海が中を覗き込み、そこに存在する広い庭と豪邸を見て、へー、と大して驚きもせずに言った。


「うちと似てるっすね」
『えっ、似てるの。私ここスポンサーに住まわせてもらってるだけなんだけど』
「あれ?あ、じゃあ似てないっす」
『さては金持ちだな天海』
「ははっ、まぁ親の金で旅に出て回ってるのは確かっす」


門に手をかけた逢坂。
しかし、天海をチラチラと見ても、一向に帰ろうとしない彼が、欲しているものを察してしまった。


『…………あ……あがってく……?お茶でも……いかがですか…?』
「言い慣れてない感が新鮮っすね。っていうかどれだけ嫌なんすか」
『いや……嫌ってわけじゃないけど』
「王馬君はいいけど、俺はダメなんすね」
『いやいやそういうわけではないけど…報復が怖いじゃん』
「報復?」


逢坂が門を開けて、どうぞ、と天海に声をかけた。


「いや、そんなに嫌がってるのにあがらせてもらう気にはなれないっすよ。さっきのは冗談ですって」
『……本当に?』
「嘘、って言ったら入れてくれるんすか?」
『……天海まで嘘つかれたら私は人間不信になるよ』
「ははっ、今日は帰るっす。今週は、明日も会えるんで」


じゃあ、また明日。
天海は嬉しそうに笑って、自分の帰路についた。
言葉の端々から伝わってくる王馬への敵対心。
逢坂はその理由に心当たりがないわけではなかったが、キーボが出迎えてくれる声を聞いて、考えるのを放棄した。


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