第2章 超高校級のロボット博士
『着替えはどうするの?まさか着替えもストックしてるとか』
「さすがにそれはないよ。でも逢坂ちゃんが寝てる間に最原ちゃんたちと一緒に帰ると見せかけて、荷物取って戻ってきたから、ほら」
王馬はロッカーの中からボストンバッグをずるずると引きずって出してきた。
何泊する気なの!という逢坂の悲鳴に似た問いかけに、ざっと1週間かな、という返答がすぐに返ってきた。
『キーボの教育に悪い!!!』
「ていうかさ、そのキーボってどこからきたの。まさか狛枝ちゃんが言ってたみたいに「希望のロボットだからキーボ」とかそんな安直な理由?」
「はい、逢坂博士のご友人の狛枝クンが名づけてくれました。人類の希望となれますように、という願掛けが込められているそうです」
「オレも逢坂ちゃんに名前の候補たくさん出してあげたじゃん!なんであのセンスの塊みたいなネーミングが響かないかなぁ」
『「とたくく」とか「ソニッケ」とか名付けたら彷彿とさせるものがありふれ過ぎてだめでしょ』
「じゃあ「ナポリタン大佐」は⁉︎」
『せめて総統にしろよそこは。ナポリタン総統ってだいぶ雑魚キャラの名前みたいだけど』
「……キーボで良かったです。ナポリタンが好きなんですか、王馬クン」
「ううん嫌い」
「嫌いなんですか⁉︎」
「ケチャップは好きだけどねー。あの甘ったるい玉ねぎはいただけないよ。それよりさ、キーボを出歩かせてるってことは調整済んでるんでしょ?なら遊んでよ!」
『待った、それより本当に泊まるの?これから私とキーボはいろんな話をしなきゃいけないんだけど』
「いろんなって?話をするなら、話題をたくさん持ってる人がいた方がいいよね。じゃあまずは学園長の頭髪量が怪しくなってきたことから議論しよっか!」
『学園長……いや、議論するっていうかこの先のことについて話さなきゃいけないから、王馬は少しここで待っててよ』
「えーーなんで?オレだけ仲間はずれなんてやだ!」
『……キーボに今日のことを説明しなきゃ。たくさん聞きたいことがあるはずだから』
「いいよキー坊!オレが3割真面目に答えてあげる」
「三割ではあまりに頼りなさ過ぎます!博士に聞くので結構です」
『正しい判断だと思うよ』
「では博士、先ほどまで王馬クンと研究室で何をしていたんですか?」
『………………………』
「博士?」