第2章 超高校級のロボット博士
「逢坂博士、確認したいことがあります。おはよう…という言葉は、時間帯としては間違った用法ですよね。自分は睡眠から目が覚めた、という説明時に使う言葉でもあるのですか?それともう一つ、その少年は先ほどボクに「博士の大大大親友である」と自称しました。それは真実ですか?」
「うわぁ頭でっかちだなぁキー坊。そんなの確認することでもないじゃん」
『…キー坊?…なるほど、だから王馬だけこんな夜中まで残しておいたのか』
「は、はい…すみません博士。やっぱり嘘だったんですか?」
『やっぱりってことは、だいぶ王馬と話したんだね。ちょっと、私はこの子を素直で正直な子に育てたいんだから、変なこと教えるなよ』
逢坂は王馬がキーボに駆け寄っていったのをこれ幸いと、コンロ近くに置いてあったインスタントコーヒーの缶に手を伸ばした。
「変なことって?さっきオレらがラボで何してたかとかそういうこと?」
「え?何をしていたんですか?」
逢坂が缶を取り損ね、ガッシャンと床に落下させる。
呆然とする彼女の元へ、キーボが駆け寄っていった。
「大丈夫ですか博士!怪我はありませんか?」
『だだ大丈夫問題ないよ。あーそういえばさっきの「おはよう」の件だけど、時間帯に合わせて使い分けるのが正しいけど人によっては「おはよう!」「いやもう夜だよ!遅いわ!」みたいに使ったりもするよ』
「あ、ちゃんと聞こえていたんですね。使いこなしてみせます」
「大丈夫?逢坂ちゃん。あ、オレも何か飲みたいなー。眠くなるまで遊んで、眠くなったらソファで寝させてくれるよね?今日はずっと一緒にいてもいいよね?まさかこんな冬の真夜中の時間帯に、一人で追い出したりしないよね?」
『……ま、まさか…追い出したくはないけど明日の授業の準備があるんじゃない?着替えとかさ。シャワーは1階の共同のものしかないから浴びてここまで戻って来るまで寒いし』
「オレが帰って授業の準備なんてすると思う?教科書なんてすでに教室に配置済みだよ!」
『それ配置済みじゃなくて放置してるだけだよね』