第21章 生かせ生きるだけ恨まれる
(…………え?)
彼は、何が言いたいんだろう。
またわけのわからないことばかり言って、人を混乱させるつもりなんだろうか。
<さぁさぁ急いで!最原ちゃんが喉から手が出るほど欲しがってる情報は、演奏真っ最中のピアノの下だよ!>
「…ねぇ、なんでゲーム形式で情報を教えてもらわなきゃいけないの?それにこれも、宝さがしゲームっていうより、ただ僕が誘導に従って歩かされてるだけーー」
計画が、明るみに。
そう言った彼の声色を思い返し、足を止めた。
(……なんだろう、妙な胸騒ぎが…)
理由なく、動悸がする。
理由なく、気が張り詰めていく。
これはきっと本能によるものだ。
危険を察知した動物的直感。
生存本能。
もし別の危機管理能力だとするのなら、それはきっと。
卵なりに身につけた、探偵の勘。
「…王馬くん」
<なに?>
「…さっきの、計画ってどういう…」
<さっきの?オレそんなこと言ったっけ>
「っ…とぼけ<最原ちゃん>
王馬は最原の言葉を遮り、続けて、たっはー!と楽しそうな声をあげた。
最原は不安感にかられ、すでに打ち上げが開始されている食堂の中へと足を踏み入れた。
<あーもー我慢できないや!思い通りにいきすぎて、このままオレが勝ったらつまんないから最原ちゃんに大大大大ヒント!>
「ちょ、ちょっと待って。キミの声に従って歩けば、逢坂さんが誰に殺されそうになってるのか情報をくれるって…!」
<オレだよ?>
「………………………は?」