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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第21章 生かせ生きるだけ恨まれる




ーーー爆発が起こる数分前。


「絶望の残党?…あのカルト集団の?」
<そう!びっくりした?>


最原は片手にスマホを持ち、一人の協力者と連絡を取りながら、体育祭の打ち上げが行われている食堂に向かって歩みを進めていた。
事の発端は、体育祭の終わり際。
何者かに命を狙われていることを逢坂本人に話そうとした最原は、その密告を中断することに決めた。
「後日王馬が知り得ている詳しい情報を開示する」という条件のもと、王馬に取引を持ちかけられ、しかたなく、だ。
本来であれば、大切な人の命がかかっているのなら、すぐに捜査に乗り出したい。
しかし王馬がそうしないでいることには、何か裏や事情があるような気がしてならなかった。
だから口をつぐむことにしたのだが、そんな最原の気持ちとは裏腹に、土日の間、肝心の情報源である王馬は「え?情報?あれは嘘だよ!最原ちゃんには教えてやんないよー!」なんて反応すらしてみせることはなく、音信不通になる始末。
最原がそろそろ痺れを切らし始めたタイミングを見計らったかのように、打ち上げが始まる直前、ようやく最原のスマホに王馬からの着信が入った。
このまま煙に巻かれ続けるのではと危惧していたが、どうやらようやく取引に応じる気になったらしい。


(…こういう話をするときこそ、電話はマズイんじゃないのかな)


そう思い、ついでに。
出来ることなら。


(…打ち上げのタイミングに被せてくるのも、やめてくれないかな…)


まるで、「人の彼女にキスしておいて、簡単に許されると思うなよ」と言わんばかりだと、最原は王馬の悪意を疑わずにいられない。


<もしもーし、最原ちゃん聞いてる?うわの空になるくらいだったら、この電話切っちゃうんだけどなー>
「ま、まって。「絶望の残党」って言葉が現実離れし過ぎてて…絶望の残党って、フリーメイソンと同じ類の都市伝説じゃないの?」
<そんなの嘘だよ。絶望の残党は確かに存在するし、フリーメイソンも実在してる>
「…フリーメイソンに関しては嘘だよね?」
<へえ、さっすが最原ちゃん!超高校級の探偵にかかれば、電話越しでも、オレが嘘ついてるかどうかはお見通しなんだー>
「…え。でも僕は、超高校級の探偵って言ってもまだ卵みたいなもので…」
<でもさぁ、どうせなら計画が明るみに出る前に追い詰めてほしかったなぁ>

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