第2章 超高校級のロボット博士
「逢坂ちゃんは、別にオレじゃなくてもいいんだよね?だって、この前までは最原ちゃんと赤松ちゃんに必要とされたがってたもんね。要は絶対的にキミを欲してくれる誰かを求めてるんでしょ?」
『…毎日くっついてきてアピールしてきたのはそっちだよね。今更文句言うつもり?』
「言ってないよ!」
『言ったよ』
「言ってない!」
『言ったよ。「違うよ、王馬がいい」って言われたいんでしょう。でもそれは嘘だから言わない』
「えーなにそれ、じゃあ特別に今日だけは嘘つくの許してあげる」
『それにしてもすごいよね。こっちが隙を見せるタイミングで、必ずそばにいるのはさ』
「だって隙に入り込まなきゃ、まず見てもらうことすら無理そうだし。でもそうしてる間に、きっと逢坂ちゃんはオレを好きになってくれると思ったんだけどなぁ」
王馬は我慢できなくなってきたのか、逢坂の髪の匂いを嗅いだり、身体だけ密着させたまま、腕を逢坂の腕に重ねて、指を絡めてきた。
抵抗しない代わりに良い反応もしてくれない逢坂を見て、いつものいたずら心からか、逢坂の首にキスをしてきた。
『……友達はキスなんてしないんじゃない?』
「そんなの日本だけの話じゃん。親愛のキスぐらいしたっていいでしょ」
『…嘘つき』
「そうだよ、嘘つきなオレなんかと友達になったらきっと逢坂ちゃんは」
その続きを、口にすることは叶わなかった。
それは、王馬の唇が塞がれてしまったせいだ。
自身の唇で王馬の言葉を遮った逢坂は、ゆっくりと、王馬と絡めた指を握り返す。
ほんの一瞬のキス。
また潤んでいる逢坂の瞳を見て、王馬は笑みを浮かべることもせず、ただただじっと逢坂の反応を確かめた。
一瞬の反応も見逃すまいと。