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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第20章 あやまった探偵




行くぞ!!!
と田中がトスを上げ、サーブを放とうと片手を振り上げた直後、破壊神暗黒四天王が一人、ジャンPが彼の肩から落下した。


((((あっ………))))


その光景に注目していた他のメンバーがそう思った次の瞬間、田中はトスしたボールに見向きもくれず、ドシャアアとスライディングして小粒すぎる涙を流しながら落下していたジャンPを優しくキャッチした。
テンッと体育館の床に落下したボールを見て、主審に立っていた2-Bの桑田が冷めた目で「ピー」と笛を吹いた。


「何…だと…!?あわや寝返ったわけではあるまいな…今の戦火の呼び笛は一体どういうつもりだ!?」
「いや「どういうつもりだ」はこっちのセリフだろが、サーブトスは一回投げたら打たなきゃダメなんだっつの。何ハムスター同伴でスポーツやってんだ」
「フン、俺の力を最前線で奴らに知らしめんが為よ」
「特等席で見せてぇのはわかったからとっとと置いてこいや、サーブの度に身構えてんだろそいつら」
「何ッ!?…クッ、俺とした事が…!」


先輩にも物怖じする事なく指示を下す桑田は、ダラけて審判台に立ってはいるものの、天性の動体視力で正々堂々ジャッジを下している。
クラスメート達の言葉にも頷かなかった田中も、「球撃戦争の支配者」には従う事を決めたらしい。
先程サーブ時にエールを送ってくれていた同じクラスのソニアに四匹を預け、再びボールを拾った彼は、高らかに宣言した。


「さぁ!!戦いはここからだ、行くぞ貴様ら!!破滅をもたらす災いの魔弾を受けてみろ!!!」
「田中、サーブ2年だから」
「支配者よ、何故止める!!」
「いやだから、サーブ向こうだっつってんだろ。打とうとすんな」


唯我独尊に振る舞い続ける田中はようやく状況が飲み込めたのか、高笑いしてボーリングをするようにボールを2-Aへと返してきた。
ボールを拾った星が「あいつ、さてはルール把握してねぇな」と呟き、次のサーブを打つ最原にボールを投げてよこした。


「最原くーん、頑張ってー!」
「う、うん…」


地味にトスを上げ、無難なサーブを打った最原を見て、春川の隣に体育座りをしていた白銀が「この裏切り者!!!」と腹から声を出した。

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