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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第20章 あやまった探偵




体育館の観戦スペースに向かうと、そこには対戦中の男子バレーを応援する2-Aの女子たちと、その列の端でしょんぼりしながら大きな身体を小さく体育座りしてまとめたゴン太がいた。


『…あれ?』
「ゴン太、そんなわかりやすいところでサボってないでもっとバレないとこ行きなよ」
「あっ、王馬君逢坂さん!ち、ちがうよ、ゴン太サボってないよ」
「じゃあなんでキー坊がバレーに代わりに出てんのさ?バレーに出るのはゴン太のはずでしょ?」
「ゴン太、ボール叩くと割っちゃうから…ボールが無くなっちゃうからって選手交代させられたんだ」
「そこは手加減しろよ、本当にお前は脳筋だなぁ」
「ご、ごめん…」


ゴン太の隣に王馬が腰掛け、隣の空いたスペースをペタペタと叩いて、彼は逢坂を見上げてくる。
「おいでよ、オレの隣」感を出され、逢坂は特に渋ることもなく王馬の隣に座った。
敏感な友達センサーを搭載している赤松が「あっ雪だ!」と女子列の真ん中から抜けて出てきて、逢坂の右側に座った。


「戻ってくるの早かったね!大健闘なんだよ、みんな頑張ってる!」
『真宮寺のあの動き何?なんでカニ歩きでしか移動してないの?』
「あ、さっき百田くんに「ボールを目で追うぐらいしろ!!」って言われてから、ずっと棒立ちではあるけどボールに顔は向けてるみたい」


そんな赤松の解説直後、目を見開き、向かってくるボールを視線の中心にとらえ続けていた真宮寺の目の前にボールがボトッと落下した。
手を伸ばせば届く距離だと認識していたはずだが、真宮寺はカッと迫力ある眼力でボールを見つめこそすれ、一向に起立状態から動かない。


「テメーはロボットか!!言われたことだけやってねェでボールに触れようとぐらいしろ!!!」
「…嫌だヨ。だって、腕に内出血できるよね。そんなことしたくないんだよ、僕だけの身体じゃないからさ」
「テメーだけの身体だろが、どこに身籠ってやがるってんだ!?」
「も、百田くん落ち着いて…」
「どこに…?どこにと言うなら」


僕の四肢全部に身籠ってるヨ、と反論した真宮寺の言葉に、ゴン太が「四つ子ってこと…?」とハッとした。


「だ、だめだよ百田君!妊婦さんは運動なんてしちゃいけないんだ!」
「だぁまってろゴン太ぁ!!」

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