第2章 超高校級のロボット博士
ゼンマイ式のネズミ
鶏が飛び出す目覚まし時計
バレリーナが踊るオルゴール
子どもの頃、不当放棄された家電から部品を集めて、小さな機械仕掛けのおもちゃを作った。
クリスマスの日に、もう一人の年長の女の子とプレゼント交換をするためだ。
彼女はいつも目を輝かせて、私のプレゼントを喜んでくれた。
手編みの手袋
暖かい冬用のコート
携帯電話
けれど歳を重ねるごとに、彼女のプレゼントはどんどん高価なものになっていった。
心配になって理由を聞いても、彼女は答えてくれなかった。
そのうち痩せ細っていく彼女を見るに見兼ねて、施設長に聞いた。
すると、お前にも国から援助の話が来ているよと、彼女の秘密を打ち明けられた。
無愛想でも面倒見のいい彼女の才能が認められ、彼女は「天才的な保育士」として、政府から、特別な仕事を与えられているんだと教えられた。
現在、施設は彼女の才能のおかげで運営できている。
疲れているのは仕事のせいだよ。
そんな施設長の話を聞いて、すぐに自分も援助の話を受けると答えた。
ただただ好きでいじっていた工学系の才能が見込まれて、私も彼女と同様に、政府の援助を受けてロボットの研究が出来るようになったのだ。
同じ立場に並んだはずなのに、私が援助を受けるようになってから、なぜかますます彼女は話しかけてくれなくなった。
けれど私は、すっかり笑わなくなってしまった彼女に、ようやく追いつけたと思った。
また友達として、話をしてもらえると思った。
だから、彼女が話してくれなくなった、その年のクリスマスに、初めてゴミの山から部品を探すことをせず、私はウサギによく似たロボットを彼女へプレゼントした。
喜んでもらえると思った。
彼女はウサギが好きで、でも生き物は施設では飼えないからと残念そうに言っていたから。
けれど、現実は残酷だった。