第2章 超高校級のロボット博士
研究棟にたどり着き、左右田がセキュリティの解除を始める。
一般生徒には真似できないような速度でコードを打ち込み、カードキーを通した。
エレベーターに乗り込んで、10階まである研究棟の7階のフロアへ向かう。
そこは逢坂と左右田の共同フロアであり、対角線状の一角に併設されているそれぞれの研究室には、その研究室の持ち主しか開けることが出来ない新たなセキュリティが設置されている。
共同フロアにはポットや調理器具が置いてあるシンク、ソファ、作りかけの作品たちや、世界でも有名な「セサミ君」というロボットがぽつんと置いてあった。
<ソウダクン、オカエリナサーイ>
「よぉセサミ。お前の博士はまだラボにいんのか?」
<ツイサッキ、デテキテコーヒーヲノミマシタヨー>
「わぁセサミ君だ!うそ、セサミ君の発明者って雪だったの⁉︎」
「なんだよ知らなかったのか?そいつがセサミ第1号だぜ」
「きゃーーセサミくんハグしてハグ!」
<モチロン、ドウゾー。…アレレー、博士ニナニカヨウジデスカ?ア、コマエダクン、オウマクンコンニチワー>
「セサミくんってこんなにたくさん話せたっけ…?」
「オリジナルだからな、そいつは市販品より高性能みたいだぜ」
左右田は向かって右側奥にある無機質なドアをノックして、中にいると思しき研究室の持ち主に話しかけた。
「逢坂ー、客がまた増えたぞー。オレの作品制作が進まねぇから、いい加減出てきて客の相手しろよー!」
「うーん、いつも逢坂さんの研究室から鳴り響いてた溶接作業の音が鳴りやんでるから、作業してないとは思うんだけど…」
「逢坂ちゃんまた来たよー!遊ぼー!」
「逢坂さん、いるの?しばらく会ってないから心配で…大丈夫なの?」
「逢坂さん、一瞬でいいんで、顔見せてくれないっすか?」
全員で逢坂の研究室の前で騒いでいると、その扉がゆっくりと、厳かな音を立てて開き始めた。
その扉の中から、ひょっこりと顔を見せたのは、人の顔によく似た、ロボットの顔だった。
「……あの…すみません。逢坂博士は今寝たばかりで…少し静かにしてもらえませんか」
「「「「………え」」」」