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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第19章 ここだけの話




「あれ。二本持ってきたはずなんだけど…左右田クンヘアゴム持ってない?」
「なんだよその女子女子した会話、持ってるわけねぇだろ!」
「その帽子、取らなきゃダメでしょ?走る時にはさ」
「別に取ったっておまえほど縦横無尽に伸び切っちゃいねぇよ」


いつも彼が頭につけているニット帽を、狛枝がスポッと取った。
特に想像の範疇を越えてこないクセのついた髪型にうんざりしたのか、狛枝が「はい、返すね」とニット帽を左右田の頭にズボッと被せ、左右田の顎までニットを引っ張って覆い隠した。
まるでこれからコンビニ強盗へ走りますと言わんばかりの友人の頭を見て、狛枝がバハッ!とツボに入った。


「失礼しまー……あ?えーっと、悪ぃな。時間になったんでオレらも着替えさせてもらっていいっすか」
「百田くんだ!!!2年A組で一番筋肉質運動神経良しスマイル良し高身長ナイス、超高校級の宇宙飛行士百田解斗くん!!」


更衣室に入ってきた後輩たちを見て、花村が歓喜の叫びをあげる。


「どうぞ!!自由気ままに、思うままにぼくの前で着替えて!!!あっ、ちなみにぼくがスマホ構えてるのはアプリだから、ゲリラクエストやってるだけだから経験値素材集めにキャッホーしてるだけだから!!!」


左右田は顔面をニット帽で覆われたまま、狛枝の両肩を掴んで腹部に膝蹴りを入れていたところだったが、変態の発言を聞きつけ、視界が覚束ない中、花村の頭部を手探りで発見し、無言のままにスパァン!とその頬を引っ叩いた。
バイオレンスな交流を深めている先輩方に若干引きながら、百田に続いて更衣室に入ってきた最原が「ちょっとこっち側のスペース借ります」と申告する。


「あっ、百田クン……最原クン…今日は…っげほ、不慮の事故で転んで出血大サービスなんてことにならないように、頑張ろうね」


同じ白組のメンツに爽やかに声をかける狛枝は、出血こそしていないがHPが大幅に減少しているのか、既に息絶え絶えだ。
おぉっす!と返事を返す百田につられて、最原がぺこりと頭を下げ、(……あれ?)と疑問を感じた。
狛枝の足下に、ごちゃごちゃとした撮影機材の山が置いてある。
気になって問いかけようとした最原の視線の動きを読んで、狛枝は片手を振りながら答えてくれた。

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