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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第19章 ここだけの話




「今日ボクは完全装備だから」


男子更衣室のロッカー前。
そんな厨二病のような発言を、体操着に着替えるや否や宣言してきた狛枝に、左右田が「あーそうかいそうかい」と興味のなさそうな返事を返す。


「どうしてって聞いてよ!」
「うっざ、彼女か!!」
「えっ、左右田クンの彼女だなんてそんなキッモ無理だよこっちからお断りするよ」
「何オレが告ったみたいな言い方してんだ、ぶちのめすぞ!!」
「ンフフフ、わかるよ狛枝くん!今日は一大イベントだものね!若いムチムチの高校生が、学年性別関係なく入り乱れ……熱気をまといながら汗を流し合う体育祭…!ぼくも昨日、スマホのデータ容量を確かめておいたから準備はバッチリ!」
「花村、オメーはもう少し自重する事を覚えろよ」
「ふむ…その様子だと、左右田くんはまだアマチュアってカンジかな?」
「あ?…アマチュアってなんの」


担任に前日に指摘されたため、白い長髪を後ろで雑に縛った狛枝が、ビシッと左右田に指を指した。


「追っかけ意識が足りないよ!!そんな想い程度で…ソニアさんが左右田クンごときに振り向くと思う!?ボクは思わないよ!!ボクが気色悪いことを一切話さなくなる日が訪れることがないのと同じように、ソニアさんはいつまでだって田中クンに夢中なまま、キミは学園生活を終えるんだ!!」
「縁起悪すぎる予言してんじゃねーよ!!いつか絶対振り向かせるわ!!」


自覚があんなら自重しろ、と隣で着替えていた九頭龍が狛枝のふくらはぎを軽く蹴り付け、さっさと更衣室から出て行った。


「ンフ…このまま着替えずに待ってたら、可愛い他学年のクラスの着替えも拝めるってことだよね?ムッフフフ……可愛いよね、特に二年生」
「気色悪ィこと言ってんな!オメーと一緒に体育の度着替えさせられるこっちの身にもなれ!!」
「あっ、安心して!左右田くんも平等に、ぼくのストライクゾーンギリギリに入ってるからさ!!」
「わぁやったね左右田クン。ソニアさんは諦めて、花村クンにしておいたら?」
「オレのロッカーの場所変えてくれ、変態二人に挟まれて着替えるのもう嫌だ……!」


えー、ボクは別に左右田クンには興味ないから、と反論を唱える狛枝は、持ってきた新品のヘアゴムがブチ切れて使用できなくなるという地味な不運に見舞われ、また左右田の隣のロッカーを漁りはじめた。

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