第18章 得意不得意
「ねぇ、なんで命令されてたわけじゃないって雪ちゃんも言わないの?そんなに嫌な言い方した?外さないでって言ってたのに外したのはそっちでしょ?」
『えっ……あ、ごめん』
「なんで逢坂さんが謝るの?運動してる時にアクセサリー外すことの何がいけないの」
『お、落ち着いて二人とも。クラスが静まり返ってるから』
「そうですよ男死二人!!ここは正々堂々、勝負で決着をつけましょう!」
体育祭の種目で争いましょう!!と提案した茶柱に、「「部外者は黙ってて」」と王馬と最原が突き放す。
「ちょっといい加減にしなよ。雪が困ってるじゃん」
「そうだぜ終一!お前が言ってることもわかるし正しいけど、今おまえが何言ったって王馬は反論してくるんだからよ」
「はぁ?春川ちゃんも百田ちゃんも、何も知らないくせに黙っててくれる?他人の関係に首突っ込んでくる最原ちゃんが身の程知らずなんじゃん!」
「…っだって、二人の関係が対等だって思えない。ただ逢坂さんが一方的に、キミのわがままに付き合わされてるだけにしか見えないんだよ」
「あっ、ほら!でも最原くん、もっと人がいないところで話せばいいというか…!」
「にゃははーシュラバだねー、みんな顔が鬼のようですなぁ!」
「逢坂さんが困惑しているわ。二人とも一度席に着いた方がいいんじゃないかしら」
「あぁ、愛故に起こる闘争心…!美しい、とても美しいヨ二人とも…!」
「地味に、わたしが見てる限り、最近突っかかってるのは最原くんのような気がするけど…?」
「んぁーやかましいわい、うちは眠いんじゃ、痴話喧嘩ならよそでやれぃ!」
「皆、うるっさい」
ぴしゃりと言い放った天海の一声で、クラスの視線が彼に集まる。
「五月蝿いんすよね…ただの二人の言い争いに、なんでクラス全員が注目しなきゃいけないんすか?最原君と王馬君も、譲ったら負けとか思ってるかも知れないっすけど、逢坂さんが悪目立ちするような争い方しか出来ない時点で君らどっちも邪魔な存在でしかないんで。なんで「部外者」に言われるまでわからないんすか?勝手に争いたいなら争えばいいけど、俺は「自分」より逢坂雪さんが大切なんで」