第18章 得意不得意
「なんなの?クラス替えといい紅白決めといい…つくづく邪魔ばっかりされてるなぁ」
「邪魔?」
問いかけてきた天海に冷めた視線を向け、王馬が即座に笑みを浮かべた。
「こっちの、話だよ」
それから10分も経たずして、教室に白組メンバーが入ってきた。
リア充爆発しろ、と呟きながら座席についた白銀に、逢坂が「いや充実してないから」と訂正する言葉が王馬の耳に入ってくる。
「充実してないの?」
『わっ、おはよ王馬』
「充分、実りのある時間に見えたけどなぁ」
座席に座った逢坂の首をじっと見て、王馬が真顔で首を傾げた。
「ねぇ、ネックレスは?」
『………え?あぁ、運動してたからしまってある』
「なんで?」
『………?……なんで?だから、走ってる時引っかかって邪魔………じゃなくて、切れたりしたら嫌だから』
「邪魔?」
『いや、違うって。邪魔じゃなくて』
「いいから早く着けなよ」
着けて。
と首を傾げたまま、笑わずに見下ろしてくる王馬を見て、逢坂が困った顔をした。
『汗ひいてからじゃダメ?』
返事を、返す気は無いらしい。
口を横に結んだまま、逢坂を見下ろしてくる王馬の視線はひどく冷たい。
「どうして逢坂さんが命令されなきゃいけないの?」
そんな会話を聞いていたのか、最原が二人の間に入ってきた。
王馬は流し目で最原を見て、無表情のままに返事を返した。
「最原ちゃん、オレあんまり今機嫌良くないから視界に入らないでくれる?」
「ねぇ、答えてよ。どうして逢坂さんがキミの命令を聞かなきゃいけないの?」
「お願いしてただけじゃん。これが命令口調に聞こえるなんて、最原ちゃんって本当猜疑心の塊だよね」
「僕のことは今どうだっていいよね。いつもそうやってキミは相手を煽って自分優位に事を運ぼうとするけど、僕はキミを観察してきたからその手には乗らないよ」
「へぇ、オレを観察ってなんで?はなから雪ちゃんを俺から掠めとる気だったってこと?」
「…そういう意味じゃないけど、別にそう思われたって構わない」
険悪な雰囲気になっていく二人を見て、逢坂が最原に声をかけた。
『あの、大丈夫最原。授業始まるから』