第18章 得意不得意
「あーぁー、オレが超高校級の総統っていうのもフィクションだったら、大手を振って雪ちゃんとデートしたり、批判してくる最原ちゃんを大義名分で市中引きずり回しの上拷問とか出来るんだけどなー」
「どんな大義があったら、市中引きずり回しなんて時代錯誤の刑に友達を処せるんすか」
「まぁオレの諸事情は置いておいて、赤松ちゃん!オレ出来る限り応援するからさ、この体育祭で最原ちゃんをものにしちゃおうよ!」
「応援してくれるのは嬉しいけど、その力強いバックアップの背景を聞いちゃった以上は頷きがたいよ…!」
「諸事情置いとけないほどダダ漏れでしたしね」
「んもー赤松ちゃんは、最原ちゃんと付き合いたくないのー!?余計なこと気にしなくていいから、同じチームの仲間として一致団結して頑張ろうよ!」
「最原くんとは付き合え、たらいいなー…なんて思ってたりするけど、だからってネガティブキャンペーンには乗らないよ!」
「えー!」
「えーじゃないの!」
「ところで、赤組の皆さんは朝練したりしないんですか?皆さん教室に揃っているようですが、誰一人としてそんな発言をしませんね?」
キーボが、朝の清掃を行っている東条と、イヤホンで曲を聴いている星、胸の前で腕をクロスさせながら瞑目している真宮寺、遠くから天海に熱い視線を送っている夢野、机で発明品をいじくり回している入間を見た。
「なんか、完全にやる気のないメンツが集まってるよね。って言っても白組のメンバーもそんな、やる気なさそうだけど」
「百田ちゃんと茶柱ちゃんがやたらテンション高いから、周りが悲鳴をあげてるよ。…ほら、雪ちゃんと白銀ちゃんなんて、もう集団から外れてしゃがみこんでるし」
王馬が窓際に向かって行き、そんな白組の状況を伝えた。
釣られて天海、赤松が窓際に寄り、足早にキーボも窓からグラウンドを見下ろした。
「…あ、白銀さん戻された」
「逢坂さん具合悪いんすかね」
「大丈夫でしょうか…?ボク、様子見に行ってきます!」
「あっ」
「あっ」
「あっ」
「えっ!?なんですかそのリアクション!?」
天海、赤松、王馬の連なった声に、教室を飛び出そうとしていたキーボがUターンしてきた。