第18章 得意不得意
「何が何でも、とっとと赤松ちゃんと最原ちゃんをくっつけようと思います」
登校してきた赤松、天海、キーボを待ち構えていたかのように、王馬が自分の座席に三人を召集し、指令を下した。
「赤松ちゃん!もうなんでもいいよ、煮るなり焼くなり襲うなり、最原ちゃんは好きにしていいから落としちゃいなよ!!」
「ええっ、なんでもいいってどういうこと?お、襲ったりもしないし!……っていうか、急にどうしたの?」
ビシッと彼に指をさされた赤松はおろおろとしたあと赤面し、「ひゃ〜」と小さく呟きながら頬に手を置いた。
「天海ちゃんも!悪い話じゃないでしょ?さぁ今こそ俺と手を組んで、邪魔で目ざわりな最原ちゃんを赤松ちゃんに捕獲してもらおうよ!」
「…んー。なんつーか、俺としては邪魔で目ざわりといえば王馬君なんすけど。ははっ。でも赤松さんの恋が実るように、応援したいところではあるっすね」
ははって笑い事じゃなくない?と食ってかかる王馬を「冗談っすよ」と笑いながらスルーして、天海はグラウンドが気になるのか、窓の方をちらちら横目で見ているキーボに意見を求めた。
「キーボ君はどう思います?一応、今となってはって感じっすけど、最原君、赤松さん、逢坂さんは三人グループだったわけじゃないっすか。その二人がくっついちゃったら、彼女寂しく感じたりするんすかね?」
「えっ。………あ、そうですね……博士は赤松さんのことをとても大切に思っています。なので、赤松さんが喜びさえすれば、博士も自分より赤松さんを優先するかと」
「ねぇ、なんでキー坊は朝練行ってないの?もしかしてあれ、自由参加?」
「ボクはサボりです」
「「「………ん?」」」
「サボりました。白組の皆さんとの心の距離が埋まってから、参加しようか決めようと思います」
「皆さんっていうか茶柱さんっすよね?あれ多分ふざけてるだけなんで気にしなくていいんじゃ?」
「そうだよ、せっかくみんな朝練なんてやって盛り上がってるんだから!キーボくんも行っておいでよ!」
「博士もそう仰ってくれましたが、譲れません。ロボットに偏見のある茶柱さんの元で勝負に臨むなんて…!ボクにはできません!」
「じゃあ赤組のスパイになる?キー坊」
「スパイ?」