• テキストサイズ

【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第18章 得意不得意




今朝方飲んできたコーヒーを口から発射してしまいそうになる逢坂の背を白銀がさすりながら、そんな愚痴をこぼしてきた。


「別にいいんだよ、体育祭があるのはさ。でも、なんでわたしたち文化系が体育会系の生徒たちの踏み台にされなきゃいけないのかな?一位になるのが当然の才能を持った生徒と一緒に50m走なんかさせられてさ。これ以上ない引き立て役だよね。でもわたしたちは?例えば男装女装喫茶をやりたいって提案したところで、強制力なんかないから男子に反対されて終了だよね。執事喫茶もメイド喫茶も、反対されて落とし所としての普通の地味な喫茶店に落ち着く。じゃあ踏み台は?普通の地味な喫茶店にみんなが従事するとして、体育祭で踏み台兼引き立て役として前座に使われた文化系の生徒に対して、文化祭で踏み台兼引き立て役として体育会系の生徒が何をしてくれるのかな?支払う代価は?1を0にするなんて、そんな勿体無い等価交換ないよね、ううん、そんな等価交換の法則は葬ってしかるべき。1は1しか生み出さない、ならいずれ0と化してわたしたちに返される労力に対して、わたしたちが1も2も差し出す必要はないんだよ!」
「そんなひと息で喋れんならその肺活量を運動に回せ白銀!!」


文句があるならちゃんと言え!と駆け寄ってきた百田を目撃し、白銀はパッと彼から視線を逸らして、片手ではなく両手で口を押さえ始めた逢坂の背をさすった。


「大丈夫逢坂さん?教室戻って休む?あ、わたしも心配だからついていこうかな」
「さらっと逃げ出そうとしてんじゃねぇ!白銀、オメーコスプレには体力がいるからって筋トレしてるんじゃなかったのかよ!」
「コスプレの為の筋トレと体育祭の為のトレーニングは違うよ」
「何が違うんだよ」
「モチベーションが」
「わかった、今すぐ走ってる奴らんとこ戻れ!!」


走らせていいのは、走る覚悟がある奴だけだよ!!
なんて百田に指を指し、ずっと走ってただろうが!と一蹴され、嫌嫌戻っていく白銀を見送って。
彼は逢坂の背に手を置いた。

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp