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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第17章 押しつけられた隠し事




「おいてめェ王馬!終一が珍しくこんな落ち込んでんだぞ!余計なこと言うな!」
「余計なこと?俺にとっては重要なことしか話してないんだけど。ねー雪ちゃん!」


王馬は、遠い席で一心不乱にポッキーを食べ続ける逢坂に話題を振った。
彼女はその声に聞こえないふりを貫き、「逢坂さん、王馬くんが呼んでるよ!」なんて余計なお世話をしてくる自称紳士の呼び声にも聞こえないふりを貫いた。


「雪ちゃんも何か知ってそうなのに、オレが何聞いても答えてくれないよね?でもさ、こんなに最原ちゃんが無様に何日ものたうち回ってて、何も声かけないなんておかしいよね?絶対二人の間に何か、口説き口説かれる以外の何かがあったってことだと思うんだけどなぁー」
「「えっ」」


口説き、口説かれる。
その部分にただならぬ雰囲気を感じ取った百田と春川が、パッと最原に視線を移す。
最原は自身の耳を両腕で塞ぎ、まるでこれから爆撃が開始されるのを予知したかのように、また机に突っ伏した。


「逢坂さん、最原君と2人きりになった時、何かあったんすか?」


逢坂の座席まで歩いてきた天海に、逢坂が視線を合わせず答えた。


『……何もない』
「…と、思いたい?」
『正解』
「はぁ、そんなクイズに参加させられる俺の身にもなってほしいっすよ」


最原君だけずるくないっすか。
と腕を組んで逢坂に真剣な眼差しを向けてくる天海に、逢坂はポッキーを賄賂として差し出した。


「あ、どうもっす」


と口を軽く開ける彼を見て。
逢坂は、自分と天海の身の安全を確認しようと王馬に視線を走らせた。


「雪ちゃん?」
『いや冗談、ちゃんと手渡しする気だったから』
「嘘だよね?」
『いや本当』
「…………。」


笑いながら怒る人という希少なスキルを習得したらしい王馬が、貼り付けた笑みを浮かべたまま、逢坂のもとへと戻ってきた。
まだ開封されていなかった方のポッキーの袋を開けると、その中身を全て鷲掴んだ王馬は逢坂に微笑みかけ、「はい、あーん」と軽い拷問を行ってくる。

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