第2章 超高校級のロボット博士
「…結局、さっきの質問に答えてもらってないんだけど…王馬くんは雪が好きなの?」
「どっちでもいいけど、赤松ちゃんはどうしてそんなこと聞くの?もしかして、オレのことが好きとか?」
「えっ、違うよ!私が好きなのはーー」
「好きなのは?」
最原くんーーーと言いそうになる直前で、赤松がハッと我に帰った。
全員の注目を浴びていることに赤面し、俯いて黙ってしまう。
赤松ちゃんは可愛いなぁ、と王馬が茶化すのを、天海が穏やかな口調で黙らせた。
「青春してんなぁお前ら。オレら研究生は締め切りが近くてドタバタしてんのによ」
「うーん、青春っぽいのと研究生ってことに関係はなさそうだけど」
「うるせー狛枝!逢坂にあらぬお前の悪評を吹き込むぞ!」
「え、それは困るよ…全世界に嫌われてもいいけど彼女にだけは嫌われたくない」
「その発言を聞かせただけで気持ち悪すぎて嫌われると思うけどな!」
「そうかなぁ。逢坂さんなら案外、ボクがこの上なくどうしようもない下劣で醜悪なクズだって知っても、側にいさせてくれるような気がするけど」
「え、狛枝先輩は雪が好きなんですか?」
「うん、そうなんだ。何度もアプローチしてるんだけど、なかなか頷いてくれなくって」
「きゃーー大胆、そんなにためらいなく答えてくれていいんですか!?」
「うん、だって隠す必要ないからね…あ、でも彼女としてはボクなんかに好かれてること自体恥ずかしくて隠したいと思ってるかもしれないよね…赤松さん、この話はあまり広めないでくれると嬉しいな」
「狛枝ちゃん、赤松ちゃんが広めると思って話してるでしょ」
王馬が狛枝の顔を覗き込み、ビシッと指をさした。
狛枝はキョトンとした後、王馬を見下ろして柔らかく笑った。
「……どうしてそう思うの?赤松さんも、ここにいるメンバーも口が固そうだから答えたんだけど」
「それは嘘だよね。ここにオレがいるのに「口が固そうだから」って理由で話すなんて狛枝ちゃんがしそうなことじゃないし」
「うん、ごめん嘘だよ。王馬クンの口が固いとは思わないけど、王馬クンが言ってることをまともに信じそうな人に知られてもあんまり困らないかなって思ったのが本心だよ」
あっけらかんとして狛枝は笑って流してしまう。
その反応が気にくわないのか、王馬はムッとした顔をした。