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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第15章 変わり者の幸福論




あぁそうそう、と彼女は付け足した。


『朝を迎えるのが怖くなくなる』
「……」
『……ねぇ、まだ足りない?』
「……足りないに決まってるじゃん。雪ちゃんはそんなくだらない理由で中途半端にオレの側にいて、早死にしてもいいの?」
『くだらなくないよ』
「くだらなさ過ぎるよ」
『えぇー……じゃあ…そうだなぁ。王馬が側にいると、案外この世界もつまらなくないなって思える』


王馬はその言葉にハッとして、上体を起こした。
ようやく顔が見れた、と逢坂は安心したように微笑み、王馬の手を取った。


『……ねぇ、私は王馬と一緒にいたいよ』
「オレはもうこれ以上側にいたくないよ」
『…さっきは、ずっと一緒にいようって言ってたのに』
「あんなのは嘘だよ…オレは嘘つきだからね」
『……本当に?』
「本当だよ」
『……超高校級の総統が怖気付いたの?』
「………そうだよ。オレにだって怖いものの一つや二つあるよ。当たり前でしょ?」
『いつか私が誰かに殺されるのがそんなに怖いの?』
「………怖いよ。自分が死ぬより何倍も」


逢坂は身体を起こして、腰の上に座る王馬を至近距離で見つめた。


『私が誰か、他の人を愛しても平気なの?』
「…平気だよ」


あと、数センチ、近づけばまた唇が触れる。
逢坂はゆっくりと王馬に顔を近づけて、寸前のところで、離れていった。


「………っ」


期待したキスを焦らされて、王馬が少しだけ唇を噛んで俯いた。
その表情を眺めながら、逢坂は囁いた。


『……キスされると思った?しないよ、別れ話してる相手なんかに』

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