第14章 歪な恋心
(ごめんね、雪ちゃん)
ただ、自分だけを選んでほしい。
自分の願望を叶えるために仕向けた打算。
彼女が待ち望んだ言葉を、自分は、計算の道具として使ってしまった。
「……ね、オレの気持ち…わかったでしょ?だったらさ…」
ーーー雪ちゃんは
無償で愛してくれる親もなく
唯一の友達にもお前なんかいらないと罵られ
「…だったら……」
それでも、誰かに側にいて欲しくて
どうしようもない孤独感を満たす相手に
こんな嘘つきで、陽のあたる場所で生きていけないような自分を選んでくれたのに
「……」
『……王馬?』
その結果が、これかよ
自分は彼女に、愛の言葉一つ、企み無しには与えてやれないじゃないか
「……オレを選んで」
それでも。
求めてやまない。
彼女の全てが欲しくてたまらない。
彼女の全てで、オレを必要としてほしい。
「オレを、選んでよ」
軽い口から出て行くのは、彼女に何かを求める言葉ばかり。
いつからこんなに浅ましくなったんだろう。
いつからこんなに分不相応を追いかけるようになった?
ただ、彼女と言葉を交わしてみたい。
ただ、彼女に笑いかけてほしい。
そんな小さな願いが降り積もって、自分でもコントロールできない。
「もう、一瞬だって離れてほしくないんだよね。独りでに階段から落ちる間抜けな彼女を持っちゃって、心臓が三つあるオレでもさすがに足りないよー」
『……ごめんね』
「ほんと、イライラしちゃうなぁ、知らないところで怪我なんかされて、こっちは他に考えなきゃいけないことたくさんあるっていうのに」