第2章 超高校級のロボット博士
「うわっ」
「…王馬君は逢坂さんの家知ってるんすか?理由は置いておいて…いや、不思議すぎて置いておけないっす。なんで最原君を差し置いて王馬君が知ってるんすか?」
「なんでってつけてって押しかけたからね。もう合鍵も貰ってるし、出入りし放題なんだ!」
「……合鍵?それは嘘っすよね」
「どっちにしろ、合鍵なんてなくたって、オレは鍵くらい簡単に開けられるもんね」
「逢坂さんが前言ってたんすよ。作品が置いてあるから、ラボには何重にもセキュリティをかけてあるって。いくら悪の総統さんとはいえ、超高校級のロボット博士が作ったセキュリティを突破するなんて無理なんじゃないっすか」
「失礼しちゃうなぁ、オレは泣く子も黙る悪の総統だよ?どのくらいセキュリティ突破が不可能か、自分の身体で確かめてから言ってよねー!せめてオレと一緒に逢坂ちゃんの家に行って、ハチの巣になってみてから言ってくれないとさ」
「ハチの巣になったら話せないっすよ…っていうか、彼女に執着してるキミなら知ってるんじゃないんすか。彼女の安否を」
「天海ちゃんはどうやら自分の過去と逢坂ちゃんの失踪を重ねてるみたいだね?でも大丈夫、逢坂ちゃんはキミを待ってなんかいないからさ」
その瞬間。
王馬が話し終わるか終わらないかのうちに、周りの空気が張り詰めるほどの大声で、天海が怒鳴りつけた。
「俺のことは今どうだっていいでしょう‼︎‼︎」
他の生徒たちが驚き、天海に視線を向ける。
そこで最原はようやく、天海の雰囲気がいつもより数倍も張り詰めていることに気づいた。
「……ちょ、ちょっと天海くんどうしたの?最原くん、王馬くんも…ケンカならよくないよ?」
「赤松さんは黙っててください。とにかく、彼女の居場所を知ってるなら早く教えてくださいよ」
「……えー?なんでオレがライバルの天海ちゃんにそんな情報教えなきゃいけないの…?別にどこにいようが逢坂ちゃんの勝手じゃん。それを教えようが黙っていようが、オレの勝手でしょ!」
「王馬くんも落ち着いてよ、天海くん、君らしくないよ。そっちのクラスで逢坂さんの居場所を知ってる人はいないの?」
「……俺らしいってなんすか。最原君は俺の何を知ってるっていうんすか」
「えっ」