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【王馬小吉】出演者達に休息を(ダンロンV3)

第13章 鈍く冷たく赤い




「許す許さないなんて言葉でどうにか簡単に解決できる問題じゃないよね?」


和やかだったはずの3人の会話。
そこへ、春川と百田の背後に現れた王馬がピシャリと冷や水を浴びせた。


『……王馬』
「喧嘩して仲直りとかさ、百田ちゃんは殺されかけたこともないくせに簡単に言わないでほしいよー。春川ちゃんも都合が良いよね、勝手に謝ってきて無理やり許すしかない状況に雪ちゃんを追い詰めたりしてさ」
「テメェはなにがしたいんだよ王馬!せっかくまた二人が顔合わせられるようになったんだから、話を蒸し返すんじゃねぇよ!」
「……あんたも同じクラスなんだ」
「そんな残念な顔しないでよ〜、このクラス替えに不服なのはオレも一緒ですよ〜っだ」


王馬は扉を塞ぐように立っていた百田と春川の間に飛び込んだ。
王馬に触れられたくないと言うように、大げさに飛び退いた春川が塞いでいたスペースから扉を潜り、王馬が逢坂の背後に隠れた。


「隠れて逃げ続けてただけのくせに、自分がどう変わったのかも相手に証明することなく赦しだけ乞うなんてさ…本当に友達だったのか疑わしいくらい卑怯だよね!」
『お、王馬いいって。座席確認してきなよ』
「おいコラ聞いてんのか!蒸し返すなっつってんだよ!」
「蒸し返す?違うよ、謝って済んだなんて思ってるそっちが都合良すぎるんでしょ」
「王馬…ちょっと黙ってろ…!テメェはハルマキの何を知ってるって言うんだよ!?」
「百田ちゃんこそ、少し黙りなよ。二人こそ雪ちゃんの何を知ってるの?」
「……いいよ、百田。…私は別に、謝って済んだなんて思ってない。隠れるのをやめようと思ったのも、許されたと思ったわけじゃないよ」


春川は王馬に向けて、嫌悪感を隠さず、刺すような視線を向けている。
王馬はその二人の剣幕から逢坂を庇うように前に進み出ると、余裕のある笑みを浮かべた。


「へぇ、じゃあどうして?」
『王馬、もういいって』
「よくないよ」


王馬は振り返って、逢坂の瞳を見つめた。
逢坂はその眼差しに反論を続けることができず、小さく口を開けたまま、声を発することができなかった。




「よくないんでしょ?」




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